メインフレーム並と胸を張るSun Fireのテクノロジ

2001/10/5

 サン・マイクロシステムズが発表した新しいフラグシップマシン「Sun Fire 15K」は、「メインフレームを置き換えるマシン」と同社が豪語するほどの信頼性と高性能を誇る製品だという。そのテクノロジを、米サン・マイクロシステムズのスティーブ・キャンベル(Steve Campbell)氏が、10月4日に都内で開催された製品の発表会で披露した。

Sun Fire 15Kの内部。上部に見える大きなボードがCPU/メモリボード

 Sun Fire 15Kの技術的な特徴を下記に挙げる。

・最大106CPUまで搭載可能なマルチプロセッシング
・メモリは0.5TBytesまで搭載可能
・4Petabytesの大規模ストレージサポート
・クロスバースイッチ方式による、高速なバックプレーン
・マシンを仮想的に最大18に分割できるドメイン

 CPUは「UltraSPARC III/900MHz」で、1枚のCPU・メモリボードに4基搭載されている。また、このボード上には32GBのメモリも搭載される。Sun Fireシリーズでは、8CPUのローエンドから106CPU搭載のハイエンドまで、すべてこのCPU/メモリボードを共通に利用する。また、このCPU/メモリボードはホットプラグ、ホットスワップが可能だ。

 UltraSPARC IIIの動作速度は900MHzだが、「マシンの性能はCPUのクロックだけで決まるものではない。バスのバンド幅やメモリI/Oが大事なのだ」とキャンベル氏。Sun Fire 15Kではバスを構成するバックプレーンに、「トリプル・クロスバー・テクノロジ」が採用された。クロスバー・テクノロジとは、複数のCPUやメモリ間で信号がやりとりされる際にバスの配線が動的に組み替わり、信号をやり取りするコンポーネント間が直結される技術。通常のバス・アーキテクチャでは全ての信号が1本のバスを通るため、CPUなどを増やして処理性能を上げようとしてもバス性能が性能向上のボトルネックとなった。クロスバー・テクノロジはこれを解決するため、CPUを増やして処理性能を上げることが容易になる。

 クロスバー・テクノロジがバックプレーンに採用されたのはSun Enterprise 10000からだが、このときはバスを流れる「データ」「コントロール」「アドレス」の3種類の信号のうち、データだけがクロスバー・テクノロジによって高速化されていた。Sun Fire 15Kでは、この3種類すべての信号が、3本のクロスバーに載るようになった。「これによって従来の10倍以上の高速化を実現したと同時に、ノー・シングル・ポイント・オブ・フェイラー(万が一、いずれかのクロスバーが故障しても、他のクロスバーが稼働しているため、システム全体は停止しない)が実現された。これを強調したい」(キャンベル氏)。

Sun Fire 15Kの前に立つスティーブ・キャンベル氏。奥に見えるマシンは、Sun Enterprise 10000

 ドメイン機能は、Sun Enterprise 10000から引き継いだ機能だ。メインフレームにも備わっているこの機能を使うことで、1台のマシンを論理的に複数台に分割し、それぞれにアプリケーションを稼働させることができる。複数台のマシンを1台に集約して管理できると同時に、ドメインに対して動的に資源をアサインできるため、要求されるパフォーマンスに応じた運用を行うことができる。

 キャンベル氏は、Sun Fire 15Kでメインフレームの信頼性をほぼキャッチアップできたと語る。「メインフレームの分野では、ここ数年技術的な革新がなかった」(キャンベル氏)。前述したバックプレーン以外にも、電源、電源コード、冷却ファン、I/Oカード、システムコントローラなどあらゆるコンポーネントの冗長化が行われている。また、同社によると、性能面でもこのSun Fireが「ベンチマークの最速レコードを次々に塗り替えている」という。「これからさらにチューニングされれば、もっと早くなるだろう」(山本泰典製品事業統轄本部 エンタープライズ システム事業部 統括部長)。

 Sun Fire 15Kの販売パートナーへの出荷は10月5日からだが、本格的な量産出荷は12月中旬から。プリセールスの段階ですでに10台以上の成約が見込めているという。

(編集局 新野淳一)

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サン・マイクロシステムズの発表資料

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