逆風のiDCを支援し続けるサン

2001/11/6

 米エクソダスのチャプター11(米破産法11条)適用申請など、iDC業界には向かい風が吹き荒れている。1999年にiDCやxSP向けの認証ガイドライン「SunTone」をスタートさせたサン・マイクロシステムズは、11月5日に都内で「SunTone Summit Tokyo」を開催し、同社のiDCへのコミットを再び明らかにした。

 SunToneは米サンが1999年5月に発足させた認証プログラム制度。まだドットコム企業が健在で、iDCというビジネスモデルに高い関心と大きな期待が集まっていたころだ。当時とは一転して悲観的な見解が多いiDCだが、プログラム概要の説明を行った米サン SunToneプログラム・オフィス シニア・パートナー・マネージャ リリー・ヤム(Lily Yam)氏は、具体的なデータを示しながらそれらの意見を否定した。「さまざまな調査会社からiCDの市場規模動向予測が出されているが、いずれも上向きだ。今後もiCDなどのホスティング市場は成長を続ける」(ヤム氏)。その一例として、米Aberdeen Groupが発表した米国におけるホスティング・サービスの市場規模予測によると、サーバやソフトウェアも提供する“オペレーショナル・ホスティング・サービス型”の場合、2005年は2001年の約4倍となっている。

 「エクソダスなど、ビジネスモデルが問われているのは、スペースと電源やファンなどを提供する“コロケーション型”。それ以外の“オペレーショナル・ホスティング・サービス型”や産業特化型は、収益の出るビジネスモデルを確立しつつある」とヤム氏は語る。

 サンがSunTone設立に至った経緯は、いくら優れた製品を使っていても、人的ミスやプロセスが定められていないためにダウンタイムが生じるということを認識したため。実際、ヤム氏は米国での当時の様子を「CIOやCTOといえば、大学を出たばかりの20代前半の実務経験のない人ばかりだった。プロセスやプロシージャなどはまったくなく、それこそむちゃくちゃだった」と語る。そこで、ユーザーが安心して選択できるように認証プログラム制度を設けるに至ったのだという。

 SunToneでは、会社や機器に対してではなく、サービスに対して認証付与を目指す。また、ユーザーの視点からの認証も不可欠だ。そのために、iDC業務に経験のある人を集めて「SunToneカウンシルメンバー」を組み、ITサービスのスペック策定を行っている。現在、プログラムには、サービス、アプリケーション、インテグレータ・サービスの3種類があり、認定された企業にはSunTone認証ロゴが与えられる。ヤム氏はそのベネフィットを「xSP、ISV、SI業者にフレームワークと信頼を与え、ユーザーには選択の指標を与える」と言う。日本では、エコスが日本企業としては第1号となるSunToneアプリケーション認証を受けている。

 現在、SunToneプログラムの参加企業は世界1500社以上、認定ソリューションは200以上に及ぶ。サンは今度も、同プログラムを通じてxSPやiDCといったアウトソーシング事業を推進して行くという。「とりわけ日本では、これら(iDCやxSP)のビジネスモデルは正しいと信じている」と言うのは、サン・マイクロシステムズ 取締役 iForce営業統括本部長 末次朝彦氏。「懸念の声はあるが、政府にしろ企業にしろ、中小規模の事業体にとって、iDCから得られるメリットは計りしれないはず」と続ける。

 アウトソーシングにビジネス価値があることは疑いない。だが、誕生して間もないビジネスであるうえ、エクソダスの倒産申請などがあり、不信感を抱いているユーザーも少なくない。実際、ユーザーは、専業業者から、自社製品を用いてサービスを提供するIBMなどのハードウェアベンダに流れつつある。専業業者が市場での認知と信頼を獲得するには、SunToneは助けにはなるだろうが決定的な解決策にはならない。サービス内容とコスト面でいかに差別化を図り、ユーザーを納得させられるかにかかっている。SunToneがうまく軌道に乗せられるかどうかも、その点にかかっており、今後の具体策に期待したい。

(編集局 末岡洋子)

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