ディスク装置にメモリを使いクイックアクセス可能なSSD

2001/11/8

 デジベリーとウィンドウは11月7日、米プラティパステクノロジーのソリッドステートドライブを輸入し、販売することを発表し、即日から受注を開始した。実際の製品輸入はデジベリーが行い、販売はウィンドウが行う。

 米プラティパステクノロジー(2001年に本社をオーストラリアから米国に移動)のソリッドステートドライブ(SSD)とは、ソリッドステートメモリ(SDRAM)を搭載したストレージシステムのことで、サーバなどからは通常のHDDのように扱うことができる。ただし、従来のHDDと比較すると、SSDはディスクへのアクセス時間が短く、磁気ディスクと比べてディスクアクセス性能を飛躍的に向上させることができるという。

 今回ウィンドウが販売するのは、プラティパス テクノロジーの「QikDATA」(クイックデータ)、「QikDRIVE/QikCACHE」(クイックドライブ/クイックキャッシュ)。「QikDATA」は標準4GBのSDRAMを搭載するディスク装置で、PCとは専用の64bit PCIインターフェイスカードで接続して利用し、データ転送スピードは350MB/秒を実現。ディスクには、ミラーリング用のIDE HDDを2基、UPSを1基搭載し、ディスク装置を8つ接続することで、最大128GBまで拡張できる。「QikDATA」は32bit PCIの内蔵カードタイプで、標準で512MBのSDRAMを搭載、最大8GBまで拡張が可能。価格はいずれも630万円前後から提供される予定。

カモノハシを採用したプラティパスのロゴ

 プラティパステクノロジーの海外事業部長 スチュアート・ゴール(Stewart Gall)氏は記者発表の席上、まずプラティパステクノロジーの母体はHypertecという半導体製品開発ベンダであることを説明し、次に会社の由来である“プラティパス”について明らかにした。プラティパスとは、英語でオーストラリアに生息する動物の“カモノハシ”のことであり、「われわれは、カモノハシのようにユニークで、機敏な製品を提供していきたい」と語った。また、SSDに搭載されているSDRAMの容量がそれほど多くない点について、「ある調査によれば、ユーザーが利用しているデータベースシステムのデータ量の87%は、50GB以下で、TB(テラバイト)級のデータを利用するのは大企業など大きなシステムだけである」として、同社のSSDの容量でも十分だと力説。

 同氏は続けて、SSDを導入した事例として、米モンスター・ドットコムのメールサーバの例を挙げた。モンスター・ドットコムでは、1日300万通のメール配信のために6台のメールサーバを導入しており、1秒当たり120通のメールを処理していた。が、この能力を倍増させる必要性が生じたため、サーバを導入するかプラティパスの製品を導入するかを検討したという。結局、プラティパスの製品を導入することで(2台のQikDATA)、サーバ2台で1秒当たり1200通のメール配信を実現、既存の4台のサーバを撤去し、その分の費用まで削減できたという。

 ウィンドウの代表取締役 田中仁氏は、「SSDは、キャッシュ装置のような位置づけで紹介されることがあったが、今後は、シークタイムを限りなくゼロに近づける信頼性の高いドライブとして普及させたい」と語った。同社では、このディスクを、大容量データを高速かつ高信頼性が要求されるような企業システムに導入させていきたいという。

 実際にSSDを普及させる“仕掛け”としてウィンドウは、同社と取り引きのあるSIベンダ(CTC伊藤忠テクノサイエンスなど)のほか、新しく10社程度のSIベンダやxSP業者などと提携する方向で検討しているという。また、有償オプションサービスなども拡充し、保守サービスメニューを充実させる。

 最後に、SSD製品の今後の展開をデジベリー 代表取締役 野渡龍氏に問うと、来年にはディスク上でよく使われるデータ、アクセスされるデータ(ホットデータ)を特定し、そのデータをSSD上に移動させる技術を提供するとともに、SAN(Storage Area Network)上のディスクアクセスを高速化させる装置を、プラティパステクノロジーが現在開発中であると明らかにした。

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