[ITX 2001開催]
ITコーディネータからスーパークリエータが一堂に
2001/11/15
情報処理振興事業協会(IPA)は11月14日、都内で「ITX 2001 第1回 IPA Technology Expo」を開催した。展示会場では、インフラやセキュリティなどの技術から、人材育成や教育システムまで、広範囲な展示やセミナーが行われた。また、人材発掘事業、「未踏ソフトウェア想像事業」のブースも設置され、訪れた人の注目を集めていた。IPAは経済産業省の外郭団体として発足、情報処理の振興を目的にソフトウェア開発や利用の促進、情報処理サービス事業の助成などを事業としている。これまで同団体はテーマ毎に研究の成果発表・展示を行ってきたが、今回初めて、全研究分野の成果を一同に集めてのイベント開催となった。
ITコーディネータが経営者に懇願することとは……
高島氏 ITコーディネータ活用の効果として、システム以外にも、トップの真意が明確になることや幹部社員の動機付けなどのメリットがあるという |
フォーラムでは、「IT化に向けた外部専門家の活用」と題して、ITコーディネータおよび中小企業診断士の高島利尚氏が外部専門家であるITコーディネータを活用しての戦略的情報化について語った。
ITコーディネータは、中小企業の情報化を促進する目的で、国が設けた資格認定制度。経営戦略の立案から情報システム化、さらにはその後のフォローまで、幅広い知識と実務経験を持つ人に与えられるもので、NPOのITコーディネータ協会が制度の運営にあたっている。この資格認定制度は今年度より開始され、すでに550名強のITコーディネータが誕生、今年度中に資格取得者数は1500名に達すると見込んでいる。
高島氏は、今日の経営環境を語りITの必要性を訴えた後、限られた経営資源や人的リソースを生かし情報化を進めるためには、外部に委託できるものは活用すべきと続ける。そして、効果的ITコーディネータ活用について、以下のアドバイスを行った。
- 社長やCIOは“どういう目的でITコーディネータを使うのか”を本音で伝える
- ITコーディネータを信頼する
- コミュニケーションを密にとる
- 変革中はトップダウンで、成功のイメージが掴めるまで根気強くサポート
- 専任担当者を割り当て窓口を設ける
同氏はまた、ITコンサルタントとしての反省を生かし、ITコーディネータの取り組み課題として、以下のことを挙げた。
- 顧客満足を考える(知識自慢の場にしない)
- 常にスキルアップを図る
- ネットワークを広げておく
特に2点目と3点目に関しては、「自分ができない分野をだれができるのかを知っておくことが必要」と高島氏は言い、全方位的なネットワークを持つことが顧客企業との信頼につながるとした。
スーパークリエータが独自技術を披露
デモを行う木實氏。ビジネス化の予定はまだという |
展示会で、特に注目を集めていたのは、「未踏ソフトウェア創造事業」のコーナーだ。同事業は、IPAがソフトウェア関連分野で、優れた人材(IPAでは“スーパークリエータ”と呼ぶ)を発掘し開発支援を行うプロジェクトで、公募により選ばれた56のプロジェクトのうち25が展示ブースを構えた。
そのスーパークリエータの1人、木實新一氏は米コロラド大学の研究員。研究テーマは「携帯端末を用いた質問偏在型データベース環境の実現」で、同氏が開発した「QueryLens」のデモンストレーションを行った。QueryLensは、いわば“電子付せん紙”。携帯端末ユーザーに、ネットワークと情報データベースを介し、適切な情報の利用や共有のシステムを提供する。具体的には、PDAにバーコード読み取りモジュールを装着し、本やCDなどのバーコードにあてることにより、対象物(本やCD)に関する質問を投げたり(=付せんを貼る)、他のユーザーの質問を見たり(=貼られた付せんを見る)することができる。質問の回答者としては、質問を見たユーザーのほかに、ボランティアで質問に答えるスペシャリストが登場する可能性もあるという。ユーザーには一種のコミュニティ機能を、書店やCDショップには商品に対する顧客のし好を知る貴重な情報源を提供できると木實氏は見ている。
同展示コーナーには他にも、E社より8倍高性能なXML文書サーバや、類似情報検索エンジンなどのユニークな技術が集合した。今後、日本発独自技術がビジネス化されることに期待したい。
(編集局 末岡洋子)
[関連リンク]
IPA
ITコーディネータ協会
未踏ソフトウェア事業
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