モバイルで“いつでも・どこでも”印刷が実現間近 

2001/11/17

同社CEO ゲット氏 「シンプルに使える先進技術」と普及に自信を見せる

 携帯電話やPDAなどの端末は、各社の“いつでもどこでも”といううたい文句にあるように、そのモビリティを各段に向上させつつあるが、プリントアウトとなると不自由を感じることはなかっただろうか。利便性に関しては、情報端末機とプリンタの間にかなりの技術格差があることは誰もが認めざるを得ない現実だ。実際、プリンタの利便性に関してはここ数年、これといった技術革新はなかった。そのプリンタ市場にネットワーク化の波を起こすべく、米エレクトロニクス・フォー・イメージング(EFI)は「PrintMe ネットワーク」というソリューションを発表した。うまく普及すれば、“いつでもどこでも”が印刷の世界でも実現するかもしれない。

 同ソリューションは、プリンタドライバやケーブルなどの機器を用いることなく、遠隔地からの印刷操作を実現するもので、米国で10月22日に発表された。すでに、米アドビ システムズ、Yahoo!などと提携し、パイロット・プロジェクトの展開に入った。

印刷ドキュメントの管理画面 (クリックで拡大)

 PrintMe ネットワークは、いわばプリンタをクライアントとするクライアント/サーバ・システム。同サービスのネットワークに接続されたプリンタは独自のID番号を持ち、ユーザーはそのID番号を利用して印刷サービスを受けることができる。

 ユーザーが印刷ジョブをプリンタに送る手段としては、1)印刷したいドキュメントを電子メールでプリンタに送信、2)ブラウザを介してアップロード、3)アプリケーション起動中に「ユニバーサルドライバ」機能から実行、などがある。同システムは、PCはもちろん、電話、あらゆるモバイル端末上で動作するほか、ユニバーサルドライバ機能により、あらゆるアプリケーションの印刷が可能という。

プリンタに接続された「PrintMe Station」 画面には、プリンタのID番号が表示されている

 印刷の形態に関しても、さまざまなことが実現できる。ユニザーサルドライバ機能を用いれば印刷ジョブの一時保存が可能で、後で印刷したり、ネットワーク上のFAXに送信することができる。格納した印刷ジョブにはPIN番号が与えられるため、検索も可能だ。また、機密文書などの印刷には、このPIN番号を取得する際に有効期限を付けることができるほか、印刷ジョブ実行後に“待機”させることも可能。その場合は、ユーザーがプリンタの前に行き、プリンタに接続された専用端末(「PrintMe Station」)を操作して出力すれば、出力文書が人の目に触れることを防げる。

 説明を行った同社CEO ガイ・ゲット(Guy Gecht)氏は、「銀行のATMのように世界規模で普及させ、印刷のATMを目指す」と語る。すでに、米国では数カ所のホテルが対応を表明しており、現在、空港のビジネスセンター、プリントショップなどとも話を進めているという。日本ではコンビニエンス・ストアも視野にあるようだ。また、すでに提携関係を結んだゼロックスのほか、印刷機やコピー機の各メーカーにもパートナーシップを広げていくという。それ以外にも、米アドビでは、PDFアプリケーションの「Adobe Acrobat」などに「PrintMe オプション」を組み込んで提供することが決定しており、Yahoo!からもPrintMeサービスが提供されることになっている。

 米EFIは1989年創業のデジタル印刷技術事業者。カラー・プリントコントローラ「Fiery」技術は、米ゼロックスや米ヒューレット・パッカード、キヤノン、ミノルタ、リコーといった日本のプリンタおよびコピー機メーカーからも多数OEM販売されている。

 同社は来年より米国で、PrintMe ネットワークの本格的な試験サービスを開始する。日本での展開や価格に関しては未定。対応するホテルや空港、プリントショップが増え、価格が低く設定されれば、モバイル印刷として普及する可能性は高いといえそうだ。

(編集局 末岡洋子)

[関連リンク]
EFI
PrintMeのページ(英語)

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