Dynamoはマーケティングの知恵を蓄積させるツール、ATG

2001/11/20

 アートテクノロジーグループ(ATG)は11月16日、ATG Dynamo 5.5の出荷開始に合わせ、新製品セミナーを都内のホテルで開催した。

 ATG Dynamoは、パーソナライゼーションを実現するプラットフォームの「ATG Dynamo e-Business Platform」と、その上で動作する「ATG Portal」「ATG Commerce」といったアプリケーションからなる製品。eCRM機能を持つECサイト、情報ポータルの構築に威力を発揮する。

 新製品セミナーでは、同社代表取締役社長の遠藤ブライアン氏のあいさつに続き、サイエントジャパンの鳥山正博氏が「個客起点のマーケティングの進化」と題して基調講演を行った。

 鳥山氏は、「顧客ベースのマーケティングの進展で、顧客ごとに興味や関心のありそうな商品をリコメンデーションするだけではなく、価格のパーソナライゼーションや流行のトレースなどができるようになる可能性」を指摘、「これまでは“何”と“だれ”のマッチングによるマーケティングだったが、GPSなどの普及により“いつ”と”どこ”という次元が加わり、コンテキストを踏まえたマーケティング活動が可能になるかもしれない」と語った。

 また、CRMは現在が普及期であることを指摘したうえで、「普及したあとは、使いこなして知恵が蓄積する企業と、それができない企業の二極化が起こる」と予想。そして、マーケティングの道具としての情報システムは、「考えること、向上することをユーザーに勧める道具であることが重要」だと指摘し、Dynamoの搭載するシナリオ機能が、「マーケティング担当者が自分で仮設を立て、実行し、検証を行えるツールであり、ユーザー自身にノウハウが階段状に蓄積する」と推奨する。

 続いてDynamoによるサイト構築事例として、日比谷花壇の五十嵐豊氏が発表を行った。日比谷花壇は、キャプテンシステムの昔からオンライン販売に取り組んできた先進的企業。インターネット上のモールへの出店も1995年からと古い。しかし、Dynamo導入以前のサイトでは、商品をショッピングバスケットに入れながら途中で購入を断念した顧客の比率が90%であったのに対し、Dynamo導入してリニューアルしたサイトではその比率が40%に改善されたと劇的な変化を語った。さらに、EC成功のためには、組織やビジネス構造の根本的な見直しの必要性も強調していた。

 最後にATGによる製品紹介が行われ、その中でステートとセッションによるパーソナライズの「第1世代」、ルールベース、協調フィルタリングによるパーソナライズの「第2世代」に対して、ATG Dynamoをシナリオベースの「第3世代のパーソナライゼーション」が可能なツールと位置付け、GUIによるシナリオ作成を実演。サイト上のバナー画像の効果測定、証券会社の休眠口座の活性化、ポータル画面の編集などがエンドユーザーでも簡単に行えることをデモンストレーションした。

[関連リンク]
アートテクノロジーグループ

[関連記事]
パーソナライゼーションのATG、ついに日本に本格進出 (@ITNews)
期待と懸念が入り混じる.Net My Services (TechWeb/@ITNews)
ネットワークアソシエイツがWebベースのCRMソフトを発表 (@ITNews)
動的パーソナライゼーションを実現するCRM、E.ピファニーから (@ITNews)
One to Oneを超えて――ブロードビジョンの挑戦 (@ITNews)
CRM成功のカギは?(@NewsInsight)
eCRM実現のためのメソドロジー入門 第5章 (IT Business Review)
ITビズ・キーワード(9) CRM製品の賢い選び方 (IT Business Review)
【特集】One-to-Oneマーケティングツール (IT Business Review)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)