いつブームになるか? Oracle Applications 11i

2001/11/23
Wednesday, November 21, 2001, 11:02 AM ET. InternetWeek By Mitch Wagner

 米オラクルが米国でアプリケーション・スイート「Oracle E-Business Suite 11i」を出荷して1年半が経過した。同製品は、安定性という課題を克服し、企業システムが実装できるレベルの製品に仕上がっている――その証拠に、モルガン・スタンレーのアナリスト チャールズ・フィリップ(Charles Phillips)氏が今週発表したレポートによれば、実装する企業数は増加しているという。フィリップ氏のレポートには以下のように記述されている。「オラクルの11iはかなりの完成度だ。同製品のユーザーは、11iは安定して稼働しており、おおむね満足だと述べている」 。

 だが、11iの実装を見送る顧客がいることも事実だ。彼らはバグが確実に修正されるのを待っている模様。同製品のインストールは決して簡単ではなく、前バージョンである10.7のリプレースには、クライアント/サーバ、キャラクター・ターミナル・インターフェイスの入れ替えが必要となる。また、苦しい経済状況から、買い替えよりも既存アプリケーションの統合が好まれる中、11iユーザーは既存アプリケーション・インフラを取り払い、11iに置き換えなければならないのだ。

 IT管理者は、時期がくれば11iへアップグレードするだろう。シン・クライアント・システムは長期的に見るとメンテナンスの手間が少なくて済むというメリットがあるが、導入には追加設定を必要とする。11iは前バージョンと比べ機能が充実している。これは、IT管理者にとって、カスタム・コードを書く手間を省略できることを意味する。また、同製品は、カスタマイズに関しても比較的簡単とされている。だが、そのような利点が理由ではなく、そのうちにIT管理者に選択肢はなくなる――オラクルが10.7(前バージョン)のサポートを2003年6月に打ちきってしまうからだ。

 11iへのアップグレードは、米国で来週開催される「Oracle Applications Users Group」でのメイン・トピックスとなるだろう。「いつ11iにアップグレードすべきかを皆知りたがっている」と独立団体OAUG社長 ジェレミー・ヤング(Jeremy Young)氏は語る。

 そして、12月2日にスタートするイベント「Oracle OpenWorld」では、データベースへのアップグレードを行うべきかがテーマとなるだろう。

 11iの特徴は、ビジネスで必要な、ERP、CRM、販売系アプリケーションといった機能を自動化している点にある。提供されるコンポーネント数は100以上、ユーザーはこの中から選ぶだけでよい。この中には、SAP、ピープル・ソフト、シーベルといったライバル社のものも含まれる。

 Borg‐Warner Cooling Systemでは、今年の夏に11iの評価を開始するという。同社は11iのアップグレードが、10.7で要求されたカスタマイズ作業を本当に軽減するのか、あるいは同社の財務系、製造系システムと11iの相性について引き続き調査中だ。

 カスタマイズ作業を少しでも少なくするために同社では、オラクルの戦略に従うことにした。米オラクルCEOのラリー・エリソン(Larry Ellison)氏は、「ベスト・オブ・ブリードのアプリケーションを購入し、統合し、自社独自のビジネスプロセスにマッチさせるためにカスタム・アプリケーションを追加する、これは控えるべき。その代わり、オラクル・アプリケーションズを購入しオラクルの方法でビジネスプロセスを標準化すべきだ」と述べている。

 11iが要求する既存アプリケーションのリプレースは、必ずしも企業がいま予定していることではない。Illuminataのアナリスト ジェームス・ガバーナー(James Governor)氏によれば、企業は、既存アプリケーションを有効活用することを望んでいるという。すなわち、統合し、すでに行ったIT投資の価値を高めることだ。

 「クライアント/サーバそしてインターネットがブームの間、企業はビジネスのためにひたすらアプリケーションを購入した。ユーザーの間には、もしライバルと同じアプリケーションを持っていなかったら、ビジネス上不利になるという不安から、アプリケーションを次々と購入した。魔法のような競争力をもたらすという幻想を抱いていたのだ。だが、いま、多額の資金を導入したがそれに見合う効果がなかったことに気がつき始めている」(ガバーナー氏)。

 「オラクルは、大企業がレガシー・アプリケーションを捨てて、一気にシングル・データベースモデルに変えるとは思っていない」とモルガン・スタンレーのレポートは続いている。「その代わり、企業はアプリケーションのレイヤーを薄くし、消化可能な部分からアプリケーション・スイートの採用が進むと見ている」。

 11iは、カスタマイズが比較的容易といわれている。なぜなら、Javaで記述された唯一の主要アプリケーションだからだ。競合他社の製品の場合、カスタマイズにはプログラミングに関する知識を必要とする、とレポートは述べている。

 米オラクル E-Business Suite副社長 リサ・アーサー(Lisa Arthur)氏は、オラクルは企業にカスタマイズを完全に放棄しろと言っているのではない点を強調する。それよりもむしろ、あらゆる企業で用いられているビジネスの機能に関しては、単に、オラクルの提供する標準に合わせるべきだとしている。そして、付加価値を高められる部分をカスタマイズすべきだという。例えば、11iはマーケティング・キャンペーンのプランニングと実行機能を持つツールや、Webでの販売・サービス機能を提供している。「私たちがユーザーに提案していることは、自社のビジネスのコアの部分をカスタマイズし、時間や手間、経費をかけて他社との差別化とすること」(アーサー氏)。

 アーサー氏のこのアドバイスは、ソフトウェアがビジネスの要求を満たすレベルに成長してきた今日、的を得てきた。少なくとも、先のBorg-WarnerのITマネージャ ジョン・ホールドマン(John Holdeman)氏は同意している。それでも、カスタマイズする必要はどこかしら生じるものだ、特にカスタマーが要求するとなれば。「もしフォードが何かを変更しろというならその要求を聞いて対処するだろう」とホールドマン氏は言う。同社は自動車メーカーに冷却システムを提供するサプライヤだ。「(米オラクル CEOの)ラリーがいくらカスタマイズするなと言っても、うちはマルチビリオンダラー・カンパニーではないのだから」。

 その一例として、Borg-Warnerでは独自のカスタム・レポートを構築し、そしてEDIによる出荷スケジュール・ディレクトリを「Oracle Order Entry」に追加した。また、カスタマーが出荷直前までオーダー個数を変更できるよう独自コードを記述する必要もあった。

 11iへのアップグレードを真剣に検討すべきもう1つの理由は、所有にかかるコストが安いことと、ブラウザ・ベースの使いやすいインターフェイスを持つことだ。

 アーサー氏によれば、現在、920社程度の企業が11iをベースとし、4000のインストール作業が進んでいる。これは6カ月前の倍の数字という。

 10.7を1998年にインストールしたBorg-Warnerではまだ、インストールの具体的な予定は立っていない。バグが多いのが最大の原因というが、現在11iは5版目で製品は安定してきたといわれている。だが、同社をはじめ10.7ユーザーにとって、デッドラインは近づいている。オラクルが10.7のサポートを打ち切るからだ。2003年6月に行われるサポート打ち切りの前に、Borg-Warnerがアップグレードする見通しは極めて少ない。「経済状況によるね。この停滞ムードが来年末まで続けば、Noだろう」とホールドマン氏は語った。

[英文記事]
Report: Oracle Applications 11i Is Finally Ready for Prime Time

[関連リンク]
日本オラクル

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