「統合すべきはアプリケーションではなくデータ」とBEAスピンアウト
2001/12/12
イーズ・コミュニケーションズは12月11日、企業内に分散して存在するさまざまな情報を仮想的に統合し活用することを可能にするミドルウェア「Linkmax(リンクマックス)」の発売を開始した。J2EE完全準拠で、J2EEプラットフォーム上でのアプリケーション構築に柔軟に対応する。
イーズ・コミュニケーションズは、日本BEAシステムズからのスピンアウト組をコアメンバーとするベンチャー企業。情報統合(EII:Enterprise Information Integration)ソフトウェアであるLinkmaxをコアに据え、アライアンスパートナーとともに企業の情報活用コンサルテーション、Linkmaxを組み込んだ他社ソフトウェアへのOEM提供などを行っていくという。
Linkmaxは、企業に存在する異なるシステム上のデータベースのデータを統合し、活用を可能にする。複数のデータベースから実データを収集し関連付けるのとは違い、どこにどのようなデータがあり、かつそのデータ同士がどのような関連を持つのかという情報を管理することで、有機的に情報を統合した新しいシステムの構築を可能にする。アプリケーションを統合するかたちでのデータ統合の手法にくらべ、約4割開発工数を削減できるとしている。
金融機関の顧客管理を例に挙げると、従来まで情報系システムの中で普通口座や投資信託などの商品単位で管理されていた顧客情報を、顧客名や世帯名(家族)でリンクし、顧客本人のみならず、家族、関係者までを関連付けた顧客管理を可能にする。このような新システムを、既存の勘定情報系DBや融資系DB、証券取引DBなどに手を加えることなく、構築することができる。
また、LinkmaxはEJBベースのミドルウェアだ。分散する各種データベースとの接続部分はプログラムレスにEntity Beanが自動生成されるため、異なるデータベースの接続ごとに開発者が作成する必要はない。しかも、データベースと結合するEJBは自由に増減可能なため、データベースの接続数には柔軟に対応する。このような複数のデータソースに柔軟に接続する機構に、キーワードを基準にキーワードとデータの関連付けを作成・管理する機能、データごとのキーワードを作成・管理する機能が加わり、分散された複数のデータベースを統合し、1つのデータベースとして扱える仕組みを提供する。なお、現在動作を保証するアプリケーションサーバは、WebLogic、WebSphere、Oracle 9i ASとなっている。
Linkmaxは、すでに製造業や航空業、金融業など幅広い業界から引き合いがあり、SI案件が進んでいるという。日立ソフトをはじめ、NTTアドバンステクノロジ、東芝ITソリューション、デュオシステムズ、ブレインセラーズ、イーゲインジャパンなどとパートナーを組み、販売・ソリューションを展開する。
イーズ・コミュニケーションズは、Linkmaxの販売とコンサルテーションによる2002年度の売り上げは7億2000万円、2年後の2004年度には45億円と見込んでいる。従業員も2004年度には90名に増やし、サービスの売り上げ比率を30%にしたいとしている。
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