[Interview]
情報バスでパブリッシュ型EAIを実現するティブコ

2001/11/2

 企業内の情報システムを効率的・有効活用するためにシステム間の連携が叫ばれて久しい。その一方で、ビジネス環境の変化に応じて、システムの素早い変更や立ち上げも要求されている。こういった状況の中、企業内の異なるシステムを迅速に統合する真のEAI(Enterprise Application Integration)が求められている。

 EAIの分野で主導的な立場にある米ティブコ ソフトウェア会長兼CEOのヴィヴェック・ラナディエ(Vivek Ranadive)氏に同社の製品について聞いた。


ラナディエ氏 著書『情報力で勝つ企業戦略』(ソフトバンク パブリッシング刊)を日本で出版したばかりだ

──御社の概要は?

ラナディエ氏 ティブコは、リアルタイムe ビジネスにおけるインフラソフトを提供する会社で、この分野でのリーディングカンパニーだ。創業4年目の2000年は売上高2億ドルを計上した。ソフトウェアの会社としては成長の速い会社だ。NEC、ゴールドマンサックス、インテル、ドイツ銀行、野村證券など、世界で1500の顧客を持っている。

――製品の特徴は?

ラナディエ氏 製品ラインは、異なるシステム、データベース同士などあらゆるアプリケーションを接続し、情報システムの統合化を行う「ActiveEnterprise」、ActiveEnterpriseと連携して取引先との接続を可能とし、企業間インテグレーションを提供する「ActiveExchange」、これらの連携を人にまで広げる「ActivePortal」という3つの製品群からなる。

 この3つを同時に提供することで、顧客企業は人・プロセス・パートナーシップを統合し、BPM(Business Process Management)を実行することでより良いビジネスを実行できる。

──ERPやデータベースなどのベンダも複数のモジュールを提供し、それらが連携することをアピールしているが、それとの違いは?

ラナディエ氏 ERPなどのアプリケーションベンダは、すべての業務についてモジュールを提供しているわけではないし、アプリケーションの連携は現実にはできていない。また、顧客が自身で開発したシステムや取引先との連携も考えなければならない。我々は、アプリケーションは提供しないが、いろいろなチャネルをつなげていく。

──どのような仕組みで実現されているのか?

ラナディエ氏 特許を取得した“The Information Bus(TIB)”と呼ぶBusアーキテクチャがベース。ERPシステムによく見られるように1つのデータベースに入れていくわけではなく、共通のインターフェイスを提供し、それを個々のシステムにプラグインすればすぐに接続可能になる(図参照)。

 これまでのPoint to Pointベースのシステム統合だと、それぞれのシステム間のインターフェイス開発作業が煩雑でコストがかかるだけでなく、出来上がった統合化システムもパフォーマンスが低下してしまう。電話に例えると、どこに電話をかけるのか探したあげく、相手が話中なら電話が終わるまで待っているようなものだった。

 我々が「パブリッシュ/サブスクライブ」と呼ぶBusアーキテクチャ利用のサブジェクトベースのマルチキャストでは、ラジオを使って呼びかけるようなものだ。キューを使わない直接送信を行うので、ノードの増加による通信量の増加もない。リアルタイム性も特徴の1つだ。

 また、システムの変更や増加の場合も、Busプラグインだけを変えればよいので、対応が非常に容易で、スケーラビリティにも優れている。ビジネスの場では、Busアーキテクチャ以外に選択肢はないと考えている。個々のアプリケーションより、インフラこそビジネスだ、と考えている。

――日本の市場をどう見ているか?

ラナディエ氏 日本は世界で2番目の経済大国であり、私たちにとっても戦略的なマーケット。金融、電気通信、製造、エネルギーなど、いくつかの垂直市場で長期的なコミットメントをしていく。

 一般的にいって、日本企業における、ビジネスプラクティスのITコミットメントに関しては、米国に比べると数年のビハインドがある。日本は製造業を中心に競争力を発揮してきたが、情報の時代の21世紀では、競争力はIT/情報化に依存する部分が小さくない。企業はビジネスインフラとしての情報化に、戦略的な投資が必要だと考える。

 私自身、購買サイドが支配的になるeマーケットプレイスに対しては懐疑的だが、Busアーキテクチャベースのマーケットプレイスやバリューウェブは、サプライチェーンのディマンドチェーン化への変遷を加速するだろう。

(編集局 鈴木崇)

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日本ティブコ ソフトウェア

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