IIJがCDNプラットフォームを事業化、無償で提供

2002/2/13

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は2月12日、ブロードバンド向けのコンテンツ配信技術、CDNプラットフォームを事業化し、今年4月より提供を開始することを発表した。エンドユーザーにはアクセス網を無償で提供する予定という。当初は、全国30局のCATV事業者、東京など3都市のNTT東西地域IP網を対象とし、段階的に拡大していく予定だ。

同社 代表取締役社長 鈴木幸一氏 「ブロードバンドではアクセス方法そのものが変わる。10年間の技術を生かし、新しい形を提示して行きたい」

 CDNとはContents Delivery Networkのことで、インターネットとは別に、コンテンツ配信専用のIPベースのネットワーク。ユーザーは、インターネットを介さずにIIJのCDN網上にあるコンテンツなどのサービスにアクセスすることになる。CDNは、IIJの全国9カ所のiDC(データ・センター)をハブに、NTT地域IP網とIIJのHSMN(ハイスピード・メディア・ネットワーク)に参加しているCATV30局(2002年2月の時点)と接続する。同社によると、ネットワークが限定されるため、品質の安定やセキュリティの確保といったメリットがあるという。また、コンテンツ提供事業者はCDN利用により、ISPなどの業者を介することなくユーザーにコンテンツを配信できる。

 今回、IIJはエンドユーザーにCDNプラットフォームへの接続を無償で提供、接続のためのアカウントを無料で発行する。放送と同様のコンセプトに基づき、「コンテンツを得るチャネルを提供する感覚」(同社 取締役 マーケティング本部副本部長 保条英司氏)。コンテンツ事業者により、利用が無料・有料と2種類のコンテンツが考えられる。プラットフォームの事業の可能性についても、今後、配信代行事業者、配信事業者や企業、コンテンツホルダーらと、決済や課金といったサービス、コンテンツ管理を含んだプラットフォームモデルを確立していきたいという。

 CDNプラットフォームはまず、東京、大阪、愛知の3都市のNTT東西地域IP網、HSMN接続のCATV30局のユーザー(推計約100世帯)を対象とする。年内には、NTTの地域IP網を全国に拡充するほか、その他のブロードバンドアクセス網にも拡大していきたいという。

 IIJでは、シスコシステムズや日本オラクルらとコンテンツ配信システム「CDN JAPAN」を共同運営しているが、「CDN JAPAN」はこのプラットフォーム上で実験サイトとして継続して続けていく。

(編集局 末岡洋子)

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IIJの発表資料

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