2001年の展望(4):帯域幅はネットワーク機器ベンダーの救いとなるか?
2001/1/11
(12/28/00, 8:05 a.m. ET) By By Meg Walker, TechWeb
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2000年末移行、情報スーパーハイウェイの基盤を構築したネットワーキングベンダー各社の運命に対する疑問が湧いてきた。ネットワーキングベンダー大手のCisco Systemsなどは経済低迷の影響をEコマース中心のドット・コムほど敏感には感じないだろうが、アナリストは、企業ITの支出や通信プロバイダーの設備投資の減少が小規模ベンダーに与える打撃を懸念している。
企業の設備投資額減少は影響するか?
長期にわたってウォールストリートで高い人気を誇ってきたCisco株が暴落した。これは、Merrill LynchのアナリストであるMichael Ching氏が同社株の格付けを12月20日に「買い」から「留保」へと引き下げたことにより火がついた。
同社株の格下げを判断した理由として、Ching氏は、Merrill Lynchの調査により、データネットワーキング機器に対する価格の下げ圧力が高まる可能性が示されたためだとしている。「ITの支出削減は、Ciscoの売上高の65%を占めるあらゆる規模のビジネス市場に影響を及ぼす可能性がある」と同氏は語る。
だが、ほかのアナリストや企業の担当者は意見を異にする。ネットワーキング製品購入者のトップに数えられるサービスプロバイダー各社間にある程度の混乱が予想されても、高速インターネットに対する飽くなき需要に支えられ、Ciscoをはじめとする各社は2001年も最終的には成長を遂げるだろうと見るからだ。
コンサルティング会社、The Hurwitz Groupの通信サービス/技術担当副社長、Bruce Wootton氏は、「ブロードバンドやアクセスネットワークへの関心がなくなることはない」と語る。「需要があるため、ビジネス関連の問題は最終的には解決されると見ている。これまでのところ、ブロードバンドアクセスの浸透率は10%に達したにすぎないが、膨大な数の人々がこの高速アクセスを望んでいる。最終的にはこの高い需要がアップグレードへとつながることになる」(Wootton氏)
CiscoのCEO、John Chambers氏は同社の見通しについて非常に楽観的だ。同氏は12月初めにアナリストに対し、「株価は下がっているがCiscoは50〜60%という意欲的な年間成長率を維持する」と語っている。Chambers氏によれば、 Ciscoは、インターネットの利用を刺激するための製品を発売し、規模の小さい企業に出資したり、これを買収することによって予定取りにビジネスを進めることができるという。
同社のほかの幹部もこの主張を繰り返す。
Ciscoのエンタープライズマーケティング担当副社長、Peter Alexander氏は、「大企業が引き続き強みを見せ、ネットワークも価値を持ち続けるだろう――これが新年に向けたわれわれの予測だ」と語った。Alexander氏は、「e-ビジネスのサービス向上に応じて生産性やカスタマーサポートも向上するため、企業は経済が下降していてもネットワークをアップグレードしないわけにはいかない」と述べる。具体的には、IPテレフォニー製品、コンテンツネットワーキング、VPN、そして無線LANの各サービスに対して需要があると見ている。
米国、2001年は光ファイバー・イヤー?
アナリストは、光ネットワーキング市場は2001年に一段と熱気を帯びるとし、CiscoやNortel Networksのほか、CienaやYipesなどが激しい競争を繰り広げるとを予想している。
調査会社のBurton Groupでリサーチディレクターを務めるDavid Passmore氏は、「2001年は光ネットワーキングの年となる。まずはネットワークのコアで光スイッチが利用されるようになり、これがルータの機能を最大限に高めてくれる」と語った。また、通信技術調査会社のRHKでヨーロッパ光通信網ディレクターを務めるStephane Teral氏は、「膨大な量のデータの伝送というニーズは高まるばかりだ。これを実現するのは光技術しかない」と語る。
Ciscoは、伝送技術企業のCerentやMonterey Networksの買収によって光技術市場への参入を開始したばかりだ。
Teral氏によると、これまで光ネットワーキングではNortelの右に出るところはなかったが、同社がその地位を維持するためには、2001年に小規模企業の買収もしくは自社技術の積極的な進化という何らかの行動に出る必要があるという。「どの企業にとっても、トップの立つのはうれしいことだ。しかしその地位を維持することは厳しいものだ」(Teral氏)
懸念されるキャリアの業績不振
資産運用会社、RAM Partnersの無限責任社員、Jeff Matthews氏は、大手のネットワーキングベンダー各社でさえも景気の低迷が要因となって支出を抑える必要が出てくるだろうと予想する。
同氏は教訓話としてFoundry Networksの例を持ち出す。同スイッチ/ルータメーカーの株価は、ISPの支出減速の悪影響から売上高成長が鈍ったとの警告を出したことで50%も下落してしまった。Merrill LynchのChing氏はレポートの中で、Foundryの発表は設備投資の削減が次世代スイッチングソリューションのサプライヤーに損害を与える最初の兆候だった、と書いた。
インフラプレーヤーと呼ばれることの多いこれらのベンダー各社は、破滅的な打撃を受けたドット・コム企業や、かつて野心的だった一部業界の崩壊とはこれまで無縁だった。
「Ciscoは低迷する業界で唯一の明るい光であり、市場の問題の影響を受けずに成長すると確信している。だが、平均より良好な業績を維持するFoundryなどが問題を明らかにすれば、Ciscoのカスタマーも絶対にプレッシャーを感じるだろう」とMatthews氏。だが、楽観的とは言えない同氏のこの予測を証明する事例は、これだけではない。
ネットワーキングハードウェアメーカー、3Comの第2四半期の売上高は、通信業界の抱える問題が要因となって5%低下している。12月1日締めの四半期に、ネットワーキング機器の売上高のうち、対通信企業に関しては43%低下したのだ。3Comでは、ネットワークサービスプロバイダーを専門とした新事業部、CommWorksを設立することで、落ち込むビジネスを食い止めたいと考えている。
3ComのCEOに就任するBruce Calflin氏は、「われわれは掛け売りの対象を慎重に選んできた。われわれはカスタマーを大企業に絞ってビジネスをしており、信用上のリスクは心配していない。しかし、影響が出ているのが発注の伸び悩みだ。大量に出荷しなければ、大きな収益を獲得できない」と語った。
それでも、Claflin氏は将来に関する確信を持つ。「カスタマーは長年、ネットワーキングのメリットを享受しつつも、実際はその場所に出向く必要があった。今は、どこからでもネットワークに接続いることを願っている。こんなことからも、来年にはワイヤレス技術の需要が爆発的に高まるのではないか」(Claflin氏)
[英文記事]
Outlook 2001:
Bandwidth Demand Could Spare Networkers Woe
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