[Interview]
セルフサービスにコンテンツ管理を融合させるブロードビジョン

2002/3/13

 ブロードビジョンは3月12日に発表、出荷を開始した新製品「One-To-One Content 6.0」で、パーソナライゼーションとコンテンツ・マネジメントを融合させた新たなるカテゴリを市場に提案する。“エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント”と呼ぶ新機能は、同社の提唱するエンタープライズ・セルフサービス環境を実現する主要なコンポーネントとなり、この製品でブロードビジョンはコンテンツ・マネジメントに進出することになる。

 同製品はブロードビジョンが2000年に買収したDTP製品のベンダ、米インターリーフのドキュメント管理機能とブロードビジョンのWebでの配信技術を組み合わせたもの。日本では、コンテンツ・マネジメントという言葉が浸透し始めた段階だが、米国では、すでに多くの企業がアプリケーションサーバと組み合わせて利用しているソリューションだ。現在、この分野では、ドキュメンタムやInterwoven、Vignetteといった専業ベンダがあるが、ブロードビジョンでは、ドキュメント管理に加えコンテンツ管理機能も実装している点を大きな差別化とする。

 米ブロードビジョン コンテンツ・マネジメント プロダクト・マーケティング・マネージャ Kitty McGahey氏に話を聞いた。


Kitty McGahey氏はインターリーフ出身、コンテンツ分野で15年のキャリアを持つ

――ブロードビジョンのいう“エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント”とは何か? またそのメリットは?

McGahey氏 コンテンツ管理の課題として、企業のコンテンツはWebに限らずさまざまなところに散在し、さらにはこれらをさまざまなデバイスに向けて配信する必要があります。しかも、それらは顧客の嗜好や属性に応じ、パーソナライズされた形でなくてはなりません。一方、コンテンツに関しての課題としては、コンテンツ作成者と協調してより効率的にコンテンツを作成すること、コンテンツを常に最新のものにアップデートすること、デバイスに応じたコンテンツの作成と配信を効率良く行うことなど、さまざまです。その一方で、情報は常に更新されており、それを探し出すことは容易ではなく、しかもそれが適正なフォーマットではない場合もあります。

 このような課題の解決に着目したのがエンタープライズ・コンテンツ・マネジメントです。これまで、まったく異なる分野でシステムも別々に構築されていたWebコンテンツ管理とドキュメント管理と、新たにWebサイトを介してアクセスされる必要の出てきたビジネスコンテンツ、この3つが重なった部分で誕生したソリューションが“エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント“と言えます。

 コンテンツのライフサイクルは、ビジネスプロセスに沿ってコンテンツを作成し、レポジトリに格納して管理し、アダプタを介して実装、さまざまな情報をパーソナライズした形で統合し、さまざまなデバイスに配信というものですが、これらをすべてWeb上で管理できるのが新製品です。これにより、コンテンツの作成から有効期限付きでの配信も可能となります。

 メリットとしては、デザイン部門、著作権などの法的な部分を管理する部門、技術部門、マーケティング部門など、それぞれの部門が担当分野に注力できるため、生産性が向上します。また、コスト削減にもつながります。

――新製品の特徴は?

McGahey氏 製品はコンテンツ・サーバ、コンテンツ・アダプタ、Contents Catalyst WebなどのUI、管理者やワークフロー設計者むけの各ツール群により構成されます。

 大きな特徴は、拡張性とXML技術をベースとしている点です。コンテンツを構造化管理するため、さまざまなコンテンツソースが混在する環境でも、必要な情報を自在に取り出し統合できます。変化の場合も、1カ所に変更を加えれば動的かつ自動的にすべてに反映されます。また、それぞれの情報は切り離して管理でき、再利用が可能です。XMLに関する知識のないビジネスユーザーでも利用できるよう、自動変換ツールの提供など使いやすさにも配慮しました。また、コンテンツの量の増加にも対応できるよう、拡張性にも富んでいます。

 また、既存システムとの統合性、Webやモバイル、プリンタなどあらゆるタッチポイントに配信できるシングルコンテンツ・マルチ・ディストリビューション機能などを持つことから“from anywhere to anytime, at anytime”なコンテンツの配信が可能となります。

――製品はどのような位置付けとなるのか? 他社のコンテンツ・マネジメント製品との差別化は?

McGahey氏 ブロードビジョンでは、以前より“セルフサービス”の重要性を訴えてきましたが、コンテンツを効率的に管理するという点で新製品はセルフサービスのベースとなります。トランザクションとコンテンツを融合するセルフサービスのソリューションを提供することにより、顧客のニーズを満たします。実際、弊社の「One-To-One Enterprise Portal」を上手に利用し、サイト運営に成功したユーザー企業の間では、コンテンツ管理を次なる課題として挙げています。つまり、これまでの企業の業務形態にそぐわない処理が次々と発生しているわけです。これらの既存顧客にメリットを提供できるものです。

 他社のドキュメント・マネジメント製品を導入している企業の間には、デリバリの方法やコンテンツ形態の変化に対応できていないという声が上がっています。大規模企業では、さまざまなデバイスへの対応といったことは実現していますが、自動配信に関してはまだ導入が進んでいないといえます。One-To-One Contentはこの部分を実現する機能を備えています。

(編集局 末岡洋子)

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ブロードビジョンの発表資料

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