進むホテルの高速インターネット対応
2002/4/4
無線LANは、導入の容易さと手軽さなどのメリットが認識され、オフィスや家庭で急速に普及しつつある。無線LAN導入に必要なAP(Access Point)や無線LANカードなどの製品の種類と低価格化はもちろん、Windows XPでの標準サポートなどにより、今後、普及のペースはさらに加速しそうだ。米国では昨年、“ホットスポット”と呼ばれる、無線LAN環境を提供する喫茶店・ファストフード店などが急増したが、今年から来年にかけて、日本でもそのブームが到来しそうだ。
ロイヤルホテル 情報システム部 中村吉弘部長 |
大阪に拠点を置くロイヤルホテルは、ホテルチェーン「リーガロイヤルホテル」を日本および海外で展開している。同社は今回、大阪のリーガロイヤルホテルのエグゼグティブ・フロア「ザ プレジデンシャルタワーズ」の改装を機に、フロア内に無線LANの導入を行った。4月下旬のリニューアルオープンに合わせて、無線LANサービスの提供も開始する。
情報化という点では、7年前より取り組みを開始していたという同社 情報システム部 部長 中村吉弘氏は、「高速インターネットは最低限の条件で、サービスとしてどのような付加価値をつけるかを検討した」と、無線LAN導入に踏み切った背景を語る。近年、ホテルへの問い合わせの中でIT設備に関するものは増えており、特に外国人宿泊者からは高い要求を感じていたという。
今回、無線LANのもたらす移動性などのメリットを評価、7年前のダイアルアップ接続導入でSIを担当したNTT西日本に依頼して、シスコシステムズの無線LAN機器「Aironet」を導入することにした。シスコ製品にした理由は、国際的ブランド力と製品のセキュリティ機能。今回導入の対象となったのはザ プレジデンシャルタワーズのうち23階と24階の2フロア。客室のほかにもプライベートラウンジや会議室を持つ間取りで、1フロアにAPを4カ所設置した。無線LAN対応済みのPCはそのまま利用でき、無線LANカードやドライバを無料で貸し出すサービスのほか、無線LAN利用可能なPCの貸し出しサービスも行うという。
ネットワーク構成としては、NTT西日本のBフレッツ回線を利用した既存のシステムの上に無線LAN環境を追加した。現在の回線速度は1Mbpsだが、今後Bフレッツ100を導入して高速化させるという。今後は、提供エリアの拡大のほか、ホテルの従業員も同じ無線LANシステムを利用するなど、多角的にITサービスの充実を図っていく予定だ。
Aironetを提供するシスコのアライアンス&テクノロジー本部 アライアンス推進部 プログラムマネージャ 斎藤真紀子氏は、製品の特徴をセキュリティとした。IEEE802.11で規定されているSSID(Service Set Identifier)、WEP(Wired Equivalent Privacy)に加え、シスコ独自のセキュリティ機能として、クライアント同士の通信を防ぐPSPF(Public Service Packet Forwarding)を搭載。共有ファイルを設定しているPCでもファイルを閲覧できないなど、パブリックな空間での利用に適しているという。
斎藤氏によると、ハンバーガーチェーン店などがホットスポット導入で得られる効果はまだ明確ではないが、ホテルに関しては、リピーター増加など、投資効果が現れているという。今後、ホテル間でも先進的サービスを提供することで差がでてきそうだ。
(編集局 末岡洋子)
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リーガロイヤルホテル(大阪)
シスコシステムズ
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