日本の電子政府成熟度は23カ国中17位

2002/4/27

 「e-Japan戦略」の下、2003年の電子政府実現に取り組んでいる日本だが、その進捗状況を採点すると、主要23カ国中17位と低い位置だという。また、この成熟度をグルーピングすると、第2グループに属する。

 この順位は、米アクセンチュアが今年初めに電子政府進ちょく度に関して調査を行い、それをまとめた調査報告書、「第3回電子政府進ちょく度調査」による。同社は、日本を含む主要23カ国(米国、カナダ、香港(中国)、英国など先進国が中心)に対し、9つの主要部門(厚生労働、法務・公安、税務、防衛、教育、運輸、国会、調達、郵政)について、オンライン化の進ちょく状況を調査した。そして、サービス適用範囲とサービスのレベル(情報提供から、検索・照会、オンライン手続きの3レベル)で構成される「サービスの成熟度」、CRMの活用度などを指標に、総合的な成熟度を割り出した。

 なお、成熟度からさらに、50%以上の「先駆的リーダー」、40〜50%の「ビジョナリー・チャレンジャー」、30〜40%の「エマージング・パフォーマー」、そして30%以下の「プラットフォーム・ビルダー」の4グループに分類している。

 トップはカナダで成熟度60%を達成した。「世界で最も市民とつながる政府になる」という目標を掲げ、5カ年計画で電子政府に取り組んでいる同国は、2年連続でトップにつけた。このカナダと、2位のシンガポール、3位の米国の3カ国は4位以下を大きく引き離しており、“電子政府先進国”と言えそうだ。アクセンチュアによると、これら3カ国を含む9カ国ではサービスオンライン化のカバー範囲は、ほぼ100%という。日本は成熟度30%で17位。ベルギーとポルトガルにはさまれた形だ。

 昨年の成熟度からの伸び率で見ると、ドイツが25%程度で急激に成熟度をアップさせていることがうかがえる(ちなみにドイツの総合順位は9位)。ここでは、日本は12位、13%程度の伸び率で、「エマージング・パフォーマー」となっている(昨年は「スロー・スターターグループ」だった)。調査対象の23カ国を平均した伸び率も13%程度なので、日本の取り組みは、ここ1年で“目覚しく進んだ”わけでもなく、他国も同ピッチで電子政府に取り組んでいるということだろうか。

 同報告書によると、いずれの国でも似たような課題が上がっているという。基幹システム同士の業務統合、データのセキュリティ、プライバシー問題などだ。それらを克服するため、プライバシー基準、デジタル署名に関する規格、機密情報に関する暗号化規格などが重要な取り組みとなるという。また、最も着手しやすく、効果が見えやすい分野としては徴税業務を挙げており、租税サービスのオンライン化を早期に行うことをアドバイスしている。

 いわゆる“行政の縦割り”という課題は、日本だけの問題ではないようだ。調査を担当した米アクセンチュア 官公庁本部グローバル・eガバメント・サービス部門 統括パートナー ビビアン・ジャップ(Vivienne Jupp)氏は、電子政府の課題として、「政府の各組織間での電子的な橋渡しを行わなければならない」として、中央政府の各種機関の間だけではなく、地方自治体レベルとの間でも連携が必要と指摘している。

 また、電子政府成功のカギとして、CRMの重要性も挙げている。個人や企業のニーズに合わせて行政がサービスを提供できる“受益者(=市民)中心のアプローチ”を採用することが、電子政府の成功につながるということだろう。

(編集局 末岡洋子)

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アクセンチュア

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