登録者のキャリアを考えた人材紹介サービス、CQC

2002/5/17

 終身雇用という雇用形態の崩壊が指摘されつつある中、注目を集めているのが人材派遣や人材紹介業界だ。この不況下も拡大を続ける数少ない業界の1つで、インターネットの普及に伴い、インターネット上で企業と求職者のマッチングを行うサイトも数多く登場している。

いろいろな人材を見てきたという渡邊氏、「大切なのはやる気」と語る

 今年4月に創業し、事業を開始したキャリアクエストクラブ(CQC)は、インターネットの仕組みを利用しつつこれまでの人材紹介や派遣企業、ヘッドハンティング企業とは一線を画したビジネスを展開していくという。5月16日、同社代表取締役社長 渡邊邦昭氏が同社のビジネスモデルの説明を行った。

 新卒で入社した日本IBMから前職の日本アリバまで、自身が転職を5回経験したという渡邊氏は、人材紹介の現状を以下のように指摘した。「人材紹介会社は求職者(キャンディデート)の年収の約3割をコミッションとして得ているが、転職の前後に発生するリスクを負うのは求職者自身。この仕組みは合理的とは言えない」。また、(採用する)企業も人材紹介会社も社員1人ひとりのキャリア開発を考えた環境を提供していないし、身に付けた技術的スキルやマネジメント能力はすぐに陳腐化してしまうなど、個人の負うリスクや負担は大きいという。

 キャリアクエストクラブは、IT関連の仕事を中心に、求職者(同社ではキャリアを追求する(quest)するという意味を込め“キャリアクエスター”と呼ぶ)の自己実現のための手助けとなるような環境や仕組みを提供し、クライアント(求人側)、登録者(求職者)の双方に利益をもたらす。

 具体的には、インターネットを利用し両方のニーズに対応し、採用された登録者に対し、「キャリアファンド」として年収に応じた(約6%程度)「キャリアマイレージポイント」を提供する。登録者は、このマイレージポイントを利用し、同社のパートナー企業の提供する4カテゴリ(モチベーション、語学、ビジネス、技術)のサービスや商品を利用し、キャリア開発などに活用できる。また、月1度のフォーラム(交流会)やセミナーの開催も予定している。同社はこの仕組みを“インセンティブ付与型人材紹介システム”とし、ビジネスモデル特許を出願している。

 求職者は同社Webサイトから職務履歴書を入力し、面接を受けて登録完了となる。

 現在、クライアントとして大手ソフトウェアベンダなど5社と契約を結び、すでに第1号の事例として、米CRMベンダの日本法人、オニックス・ソフトウェアに常務執行役員の紹介を手がけたという。今後1年半で、クライアント30社、キャリアクエスター1000人程度に拡大させ、そのうち紹介実績を100人程度作る計画だ。

 企業と個人の関係は自身の追求テーマという渡邊氏は、「21世紀は人材、ヒューマン・バリューの時代。夢や志のある個人をサポートし、長期的視野でキャリアアップする環境を提供することにより、日本における人材の流動化を促進したい」と語った。

(編集局 末岡洋子)

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キャリアクエストクラブ

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