コンポーネントERPが日本での導入ブームの引き金となるか?
2002/6/22
アイ・ティ・フロンティアなど国内ベンダ15社が集まり、それぞれの得意技術を部品(コンポーネント)として提供し、国産のERP「BizQuick/EI」を開発した。ERPというと独SAPや米オラクルなどの大規模かつ高額な海外製品が主流だが、担当者は「日本の商習慣に適したシステムをコンポーネントとして提供し、最小限のカスタマイズでERPを実現できる」と自信を見せる。
PASCAL 会長の大針泰氏(東洋紡システムクリエート 常務取締役) |
新製品の開発元PASCALは、コンピュータ・アソシエイツのモデルベースの統合開発環境「Advantage Plex」のユーザー9社らが1997年に結成した団体。その参加企業数社が共同出資して設立したマトリックス・システムズが、製品の企画・販売を行っている。これまでにビジネスオブジェクト関連製品「PINION/Suite」などを提供してきた。現在、参加企業は15社(アイ・ティ・フロンティア、アグレックス、クロスキャット、ケン・システム開発、コンサルティング・エムアンドエス、シービーシー、セイノー情報サービス、タカヤ、東洋紡システムクリエート、東レシステムセンター、日本コンピューター・システム、マトリックス・システムズ、リコーテクノシステムズ、両毛システムズ、コンピュータ・アソシエイツ)。
BizQuick/EIは、製造、販売、物流、在庫管理などのERPのコアとなるシステム群で構成される。そのほかの会計や会員管理、人事といった機能は「BizQuickシリーズ」として提供され、ニーズに応じて柔軟に組み合わせできる。ビジネスインテリジェンス(BI)ツールやEDIなどの外部のシステムとは、インターフェイス標準部品を通して連携が可能。レガシーへのアドオンも可能なことからEAIとしての機能も果たすという。
PASCALで理事を務めるマトリックス 事業本部 取締役本部長 内田弘之氏は、新製品の開発コンセプトを「ビジネスモデルをコンポーネントベースで早く構築し、独自のビジネスプロセスの確立をサポートする」と語る。ビジネスモデルはいわば競争力の根源。競争力としてのITという点では遅れている日本企業に、日本の製品でサポートしていくという意図もあるようだ。
内田氏の言葉にあるように、製品の特徴はコンポーネント。部品単位での組み立てによりビジネスプロセスが作成できるほか、パターンアーキテクチャを採用、小機能部品を組み合わせ大機能部品を作成することもできる。これにより、段階的導入や変更に柔軟に対応できる。このほかにも、業種・業態別のテンプレートや多言語・多通貨のサポートもある。
PASCALではこのほか、業務分析や経営戦略立案、開発などの導入・保守にかかわるサービスも展開する。
「ERPというとカスタマイズがかかるのが常。今回、日本企業の業務ノウハウを熟知した参加企業がコンポーネントを蓄積し、シェアすることにより、最小限のカスタマイズで日本の業務習慣にあったERPを実現できる」と内田氏は語る。
日本におけるERPの導入率は3〜4割といわれており、中堅規模ではこの率はさらに下がる。その重要性は認識していても、人的・資金的に着手できないというところが多い。「中小規模をターゲットにする」(PASCAL会長の大針氏)という同製品、新たなERPブームの波を作ることができるだろうか。
(編集局 末岡洋子)
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