“敷居が高い”を変えられるか? 中堅への拡大を図るSAP
2002/3/15
日本企業におけるERPの導入率は、約3〜4割といわれている。資金的に余裕があるといわれる大企業でやっと5割を超えた程度というから、それ以外の中堅企業ではERPはあまり普及していないといえる。SAPジャパンは今回、裾野を広げ、中堅規模企業にもERP「R/3」を普及させるため、パートナー8社と組み、テンプレートとして提供する。業界で標準的に導入されているR/3をパッケージ化して提供することにより、価格にして約1億円安く、工数にして約3割短縮してERPが導入できるという。
SAPジャパン 藤井社長 |
SAPはこれまで、自動車、化学など業界別に事業を展開してきた。年間売上高1兆円以上の大企業では43%という普及率を誇るが、中規模以下の企業ではその数値が極端に下がる。コストや導入期間といったことが原因で、大企業以外の企業にとって“ERPそのものの敷居が高い”とされており、導入が遅れてきたという。
そこで今回同社は、「ソリューション・テンプレート・センター」を新設し、パートナー企業からのベスト・プラクティスを募集、個別に検証し、テンプレートとして提供する。これにより、「低コストで迅速に、結果の見えやすいERPを提供できる」(同社 代表取締役社長 藤井清孝氏)という。同社によれば、ERPシステム導入費用の内訳を見ると、ソフトウェアライセンス、ハードウェアなどに比較すると、インプリメンテーションには3倍のコストがかかっているという。「テンプレートにより、この部分を効率化できる」(同社 アライアンス マネージメント本部 竹田邦雄氏)とする。また、竹田氏は、導入にかかわるリスク削減というメリットも得られると強調する。
第一弾として、IT業界向けの「BMI(SAP Business Model for IT Industry)」を発表した。BMIには、BMIカスタマイズパラメータのほか、アドオン開発プログラム一式、テスト用データ一式、カスタマイズのためのパラメータ設定シートなどを含むCD-ROMで、販売価格は1500万円。これを用いて従業員200〜2000名、売上高100億〜1000億円規模の企業がR/3を導入する場合、コストは1億2300万円程度となり、BMIを使用しない場合と比較すると、費用は約1億円安くなり、工数は約3割程度で済むという。今後、自動車部品業界や地方銀行、設備保全といった業界向けのテンプレートを順次提供していく。
この取り組みにおけるパートナー企業は現在、IDSシェアー・ジャパン、アイ・ティ・フロンティア、NTTデータサイエンス、TIS、ティアイエス・アンド・オリジン・コンサルティング、東洋ビジネスエンジニアリング、日本ユニシス・ソフトウェア、富士ゼロックス情報システムの8社。
SAPジャパンの藤井社長は、「ERPは業務改革のツール。導入により迅速な経営、意思決定が可能となる。日本企業の国際的な競争力強化に貢献したい」と意欲を語った。
(編集局 末岡洋子)
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