デル、今年度も絶好調宣言
2002/6/29
デルコンピュータ 代表取締役 浜田宏氏 今後も部品が安くなれば、製品の価格を下げていくという |
世界の景気回復が思わしくない中にあって、相変わらず調子が良いIT企業の代表格がデルコンピュータかもしれない。6月28日、実際、同社 代表取締役 浜田宏氏はプレス向けのセミナーでの発言も、それを裏付けるかのような発言となった。
浜田氏は「コンシューマを含めPCビジネスがマイナス10%以上落ち込んでいる中、われわれは2ケタ成長で伸びている。ある調査では、PCのマーケットシェアは5位となった。シェアは、我々がきちんと仕事をしてきた結果だ。できれば今年4位にしたい」と、まずは好調な業績が続いていることを明らかにした。そしてその秘訣として取り上げたのが顧客満足度だ。「デルは常に顧客満足度を高める努力をしている。それによってリピート率を上げる」。
同社は顧客満足度を、製品(ハードウェア)を利用していく中で5つに分類することができるという。1番目は購入するときで、価格や性能、営業の対応などだ。2番目は受け取るときで、時間どおりに来たか、欠品がないか、間違いがないかなどだ。3番目は組み立てるときやインストールするときで、早く、安く、簡単にできるかどうか。4番目は使っているときで、使いやすいか、きれいかなど。そして最後の5番目は困ったときで、故障したときなどに早く、しかも簡単に直るか(対応してくれるか)というもの。デルはこのすべてを強化しているし、強化していくと強調した。
こうした努力によって、各種の調査の顧客満足度調査で1位を獲得しているが、課題もあるという。「ハイエンドのサーバやストレージで、何か問題があったときの電話対応はナンバー1だと思う。しかし、より複雑な問題の場合、それに完璧に対応できるかというと、そうではない。また、東京以外のサポートが弱い。地方では他社と比較して数時間か半日違うかもしれない。そのため、今後はエンジニアや地方のサポート要員をさらに増強したい」(浜田氏)。
徹底的に販売管理費を削ることで有名なデルだが、このようにエンジニアやサポート、それに営業の人員は増やしていきたいという。「その代わり、人間でなくてもいいものはIT化などによって削ったり、海外に移せるものならば移すなどして徹底的に販売管理費を削減する」と述べるなど、販売管理費すべてを削減するのではなく、人には投資しながらも、ほかで一層のコスト削減を進めるとしている。
エンタープライズ分野では、PCサーバで今年度シェア1位を目指したいというデルだが、今後、中小企業や地方公共団体への販売にも力を入れていくという。そのため、現在マイクロソフトとこうした企業や団体へのプログラムを策定中であることを明らかにした。
エンタープライズのストレージ市場では、EMCとの共同ブランドでSANの分野に参入を果たしたデルだが、浜田氏の説明によれば、すでに数十もの案件が進行しているという。さらに、同社のシステムインテグレーションやコンサルタンティング部門であるデル・テクノロジー・コンサルティング(DTC)については、「この事業は、全世界のデルの中でも最も成功したモデルといわれている。従来日本ではコンサルティングサービスの何にお金を払っているか、明確ではないことが多い。われわれは明朗会計で、どこにどれだけお金をかけるか、その代わり、どこまで何をするのかを明らかにする。これがお客様に認められたのだろう。すでに新生銀行や川崎汽船、横浜国立大学など、1年で400件もの案件を獲得できた」と説明するなど、どの事業も絶好調のようで、当分は向かうところ敵なしの状況が続きそうだ。
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