Itanium2発表、インテルの正念場はこれから
2002/7/11
Itanium2を発表したインテルの次なる課題は、多くの企業にIAベースのシステムを導入してもらうことだ。同社はItanium2発表の翌日の7月10日、IAベースのソリューションの普及・促進活動を紹介し、対UNIX戦に向けてのコミットを見せた。
米インテル 副社長兼ソリューション・マーケット・デベロップメント事業本部 セールス&マーケティング事業部 ディレクタのジョン・デイビス氏 |
「われわれはチップを作るチップメーカーではない」と強調するのは、この日、説明を行った米インテル 副社長兼ソリューション・マーケット・デベロップメント事業本部 セールス&マーケティング事業部 ディレクタのジョン・デイビス(John E. Davies)氏。デイビス氏は、同社は過去数年間、ソリューション分野に5億ドルを注ぎ込み、マイクロソフトやオラクルらとの協業、SI事業者との協業を通して、同社製チップ上で動作するソリューションの拡充、その普及促進を図ってきた。その例が、UNIXレベルのスケーラビリティを実現する「Windows 2000」とユニシス「ES7000」(IAベース)との組み合わせや、オラクルのクラスタリング技術「Oracle 9i RAC」などである。
「大企業の基幹業務はUNIXだと思われがちだが、コストパフォーマンスに優れ、性能面でも劣らないIAサーバの採用は進んでいる」というデイビス氏は、事例として、アサヒビールや通信事業者の仏アルカテル、世界最大の通信社、英ロイターなどを挙げた。
IAベースシステムの普及・促進にあたり、コアとなるプログラムが「Solution Blueprints」である。デイビス氏は「レシピ」に例えたが、IAベースシステムの導入事例に基づき、アーキテクチャや主要なコンポーネント情報を提供したもの。SI事業者は、この情報を基にシステム設計が可能なため、納期の短縮やコスト削減につながるという。デイビス氏は、中・小規模企業など、コストや人的リソース不足が理由で、導入が後回しになっているところを中心に、システムのレシピ集、Blueprintsのニーズがある、と見ている。
プログラム開始から半年で、すでに100余りのBlueprintsがストックされており、1つのBlueprintsから14件もの応用があった例もあるという。日本でも、金融業や製造業などのBlueprintsがある。
発表されたばかりのItanium2でも、Blueprintsを中心に、積極的にIAベースシステムの普及を推進する。初代のItaniumを発表して1年たつが、Itaniumの可能性はいまだに未知だ。「Itaniumは10年単位で存続していくアーキテクチャ。すぐに結果は見えてこないが、エンタープライズには忍耐が必要」とデイビス氏は語り、長期的視野でUNIXが制するエンタープライズ市場へ挑んでいく決意を表明した。
日本でソリューション事業を担当するインテル プラットフォーム&ソリューションズ・マーケティング本部長 佐藤宣行氏は、「プラットフォームの提供だけでは、ビジネスは拡大しない。どんなソリューションがプラットフォームの上に載るかが大切だ」と、インテルにとって同事業が重要であることを語った。そして、Blueprintsへの反響が予想以上に好評だったとしながら、すでにある市場にリーチしていく構えを見せた。
米ガートナー データクエストのアナリスト 主席アナリスト ジェフリー・ヒューイット(Jeffrey Hewitt)氏は、デルコンピュータやコンパック・コンピュータ、IBMらが牽引するIAサーバ市場は、低コストなどの特徴が支持され、ほかのRISCベースのサーバと比較すると、「出荷状況は好調」と言う。同氏は、「2003年にはIAサーバがRISCサーバの出荷金額の総計を上回る」と予測しながらも、64ビットへの移行の必要性をいかに説くか、などチャレンジはあるとしている。Itaniumビジネスは、“McKinley(マッキンリー)”のコードネームを持つItanium2から本格化、というのが大筋の見解だった。インテルの挑戦はこれからと言えそうだ。
(編集局 末岡洋子)
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