ストレージ市場開拓に名乗りをあげる日本IBMとネットワン

2002/8/21

 今後の高い成長が期待されるSAN(Storage Area Network)分野で、IPネットワークの構築に強いネットワンシステムズと、ストレージシステムを提供する日本IBMが手を組んで合弁会社「プロストレージ株式会社」を9月2日に発足させる。特にTCP/IPネットワークとの親和性が高いIPベースのSANソリューションの提供に注力する。

合弁会社の事業立ち上げを発表し、握手を交わすネットワンの佐藤氏、プロストレージの澤田氏、日本IBMの大歳氏(左から)

 新会社は資本金2億円で、出資比率はネットワンシステムズが65%、日本IBMが35%。代表取締役社長には、現ネオテニー副社長の澤田脩氏が就任予定。当初は6人の役員を含め16名で事業を開始する。ネットワンシステムズ代表取締役社長の佐藤一雄氏は、「両社(ネットワンと日本IBM)が、日本におけるネットワークストレージの発展に貢献したいという点で共通の思いがあった」ことが合弁のきっかけだったと述べると、日本IBM代表取締役社長の大歳卓麻氏は「いままでストレージはサーバについてくるものだったが、これからはネットワークにストレージが付くものだ。その点で、ネットワンシステムズに65%出してもらった」と、出資比率がネットワン主導になった経緯を語った。

 新会社の業務はストレージ・エリア・ネットワーク関連のソリューション提供が中心になる。特に、ネットワンシステムズの持つIPネットワークの構築における高い実績を足がかりに、ネットワンシステムズの販売するSAN製品である米3PARdata(スリーパーデータ)の製品、日本IBMのSAN、NASやバックアップストレージなどを扱っていく。

 新会社は、ネットワンにとっては、同社の強みをストレージという新たな分野に広げる試みであり、日本IBMにとっては、ストレージ製品の販路の強化につながると考えられる。調査会社のIDCジャパンによると、SANの分野は2006年には5000億円程度の市場規模になると予想されており、日立製作所、EMC、富士通、ヒューレット・パッカード、IBM、サン・マイクロシステムズなど多くのハードウェアベンダが参入している。IPベースのSANは、その中でもこれから立ち上がる市場だといえるが、すでに多くのライバルが名乗りを上げているSAN市場で、ネットワンのネットワーク構築を生かした市場開拓がどれだけできるかが、新会社の成功の鍵を握っている。

(編集局 新野淳一)

[関連リンク]
ネットワンシステムズの発表資料
日本IBMの発表資料

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