動画メールでドコモとJ-フォンを突き放しにかかるKDDI

2002/8/27

 KDDIはカメラで撮影した動画をメールに添付して対応携帯電話同士で送受信して再生できる第3世代携帯電話の新サービスを、9月20日から開始すると発表した。対応携帯電話も同時に発売する。

KDDIの代表取締役社長 小野寺正氏。「将来的には全ユーザーのうち、70%のユーザーがムービーやGPSなどの高機能携帯電話を利用するようになる」と予測。「今後の携帯電話もムービー、GPS中心に発売する」と述べた

 今年4月に第3世代携帯電話サービスを始めたKDDIは、開始5カ月で200万もの加入者数を集めるなど好調。開始が半年早かったライバルのNTTドコモは約13万にとどまっている。KDDIは新サービス開始でさらにNTTドコモを突き放す考えだ。KDDIの代表取締役社長 小野寺正氏は、「第3世代としてナンバー1の地位を確固たるものにできる」と新サービスへの期待を述べた。

 新サービスの「ムービーメール」は、携帯電話に内蔵したカメラで最大15秒まで動画を撮影して、動画に対応するKDDIの携帯電話やPCに送信して再生することができる。J-フォンがすでに今年3月から動画メールの送受信サービスを始めているが、KDDIは動画の録画時間をJ-フォンの5秒に対して、最大15秒とすることで差別化する。なお、15秒間の動画を保存した場合のファイル容量は約20Kbytes。

 動画はMPEG-4で保存し、コマ落ちの少ないスムーズな再生ができるという。コマ数はEZウェブの動画コンテンツが1秒間15フレーム、メールに添付する動画は1秒間8フレームとなっている。撮影した動画に最大80文字のテロップを挿入したり、動画を再生しながら音声を別に録音することもでき、編集機能も充実している。こうした多機能性を武器に、動画メールで先行するJ-フォンを追撃する構えだ。

9月の新サービス開始に合わせて新たにKDDIのCMキャラクターを務めるタレントの仲間由紀恵さん(右)と、すでにCMに登場しているタレントの菊川怜さん

 新しく発売する携帯電話では、電子メールの機能も向上させた。従来の送信可能文字数を全角500文字から全角5000文字にアップ。添付ファイルの送受信もこれまでの1件から5件に増やした。

 KDDIをはじめとする携帯電話キャリアが続々と新サービスを打ち出す背景には、増加が見込めない音声通話の収入を、データ通信費で補おうとする考えがある。KDDIが8月19日に発表したデータによると、今年4〜6月期のユーザー1人当たりの月間平均収入は、KDDI全ユーザーの平均でデータ通信料が1030円。

 ところが新たなネットサービスを投入した第3世代携帯電話サービス「CDMA2000 1x」に限ると、3130円と一般ユーザーに比べて3倍以上もデータ通信料を支払っていることがわかる。9月に新しく始めるムービーメールサービスでは、一度送受信すると約43円かかるが、魅力的な新サービスにより、ユーザーにデータ通信を使わせようというのが携帯電話会社の戦略だ。

 しかし、ユーザーが一番敏感になるのも携帯電話の料金だ。あの携帯電話は高いというイメージがついてしまうと、どんなに画期的なサービスでも支持を得るのは難しい。KDDIはムービーメールの提供開始に合わせて、10月から月1200円を支払うことで1パケット(128バイト)当たりの通信料が、通常の0.27円から0.1円になる新しい割引サービスを開始する。NTTドコモもiモードの通信料で月3万円を超える分の通信料を1パケットあたり0.3円から0.2円に9月から引き下げる。ユーザーにはできるだけデータ通信料を支払ってもらいたいが、割高というイメージは避けたい、という携帯電話キャリアの本心が透けて見える。

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KDDIの発表資料

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