「NAS対SANの宗教戦争」を終結させる新ストレージ製品

2002/10/10

 日本ネットワーク・アプライアンスは、SAN(Storage Area Network)とNAS(Network Attached Storage)に同時にアクセスできるストレージサーバ・ソリューション「FAS900シリーズ」の出荷を開始したと発表した。ネットワーク・アプライアンスはこれまで、NAS対応のストレージ製品を主に扱ってきたが、顧客企業の中からSANのデータにもアクセスしたいという要望があり、同時に扱えるようにした。

 FAS900シリーズの最上位サーバは「FAS960c」で、最大で48TBをサポート。SAN、NASだけでなくiSCSIのサポートも予定している。シンプルな構成にすることで、従来のネットワーク・アプライアンスの製品からのデータの移行を簡単にした。SANでは、相互接続性の高さがポイントの1つ。FAS900シリーズでは、現在Windows 2000とSolaris、ブロケードスイッチ、McDataテープSANに対応している。来年以降にIBM AIXやHP-UX、Linuxに対応させ、顧客企業の幅広いニーズに応えるという。

FAS900シリーズの最上位サーバ「FAS960c」

 NASとSANを1つのサーバで管理しようとすると、管理ソフトが複雑になることがあるが、FAS900シリーズでは管理ソフト「DataFabric Manager」を用意。1つのソフトだけでそれぞれのデータを管理できるようにして、ユーザーがNASとSANのそれぞれのデータを効率的に利用できるようにしている。DataFabric Managerではストレージリソースの管理から、データのバックアップ管理、コンテンツ管理なども可能になっている。

日本ネットワーク・アプライアンスの代表取締役社長 鈴木康正氏は「SANの複雑で難しいシステムを簡単でシンプルにした」と、新製品を紹介した

 ネットワークアプライアンスは同時に中小企業向けのストレージサーバ「NetApp F825」も発売。ファイル容量は3TB。社内に構築された複数のファイルサーバを統合して、社内システムのパフォーマンスを向上させるという。F825もNASと同時にSANに対応している。

 日本ネットワーク・アプライアンスの代表取締役社長 鈴木康正氏は、「NASとSANのどちらが優れているかというベンダの“宗教戦争”はユーザーにとっては意味がない。われわれはユーザーが必要としている製品を提供する」と述べた。FAS900シリーズの出荷予想については、「来年度の日本ネットワーク・アプライアンスの売り上げは、FAS900シリーズの売り上げがほとんどを占めることになる」としたうえで、「ストレージの国内市場で4分の1のシェアを獲得し、ストレージでは上位3位に入りたい」と目標を述べた。

(垣内郁栄)

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日本ネットワーク・アプライアンス

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