「HPCCでもリーダーに」、デル社長が営業本格化宣言

2002/12/5

 デルコンピュータの代表取締役社長 浜田宏氏は12月4日に開いた会見で、「HPCC(High Performance Computing Cluster)でも業界のリーダーになりたい」と述べ、国内の営業活動を本格化させる考えを示した。

デルコンピュータの代表取締役社長 浜田宏氏。「HPCCはこれからホットになる言葉」と述べた

 HPCCはサーバコンピュータを数十台から数千台までクラスタ接続し、低コストでスーパーコンピュータ並みのパフォーマンスを実現する技術。概念としてはグリッドコンピューティングに近い。HPCCを使えば、コストを最大でスパコンの10分の1程度に抑えることができるため、企業や研究機関が技術開発用に導入するケースが増えている。

 デルのHPCCは複数のPowerEdgeサーバを並列接続する。海外では、ニューヨーク州立大学バッファロー校に癌(がん)の疾病治療研究やゲノム解析をするためシステムを納入。フランスの石油採掘会社にも地震の解析システムをHPCCで構築し、納入している。浜田氏によると国内でも「自動車会社や大学などから2ケタの商談が来ている」という。デルコンピュータの営業技術支援本部 本部長 長谷川恵氏は国内でのHPCCについて「導入はまだだが、2件についてシステム検証している」と説明。1件は製造業で、40ノードのクラスタシステムだという。衝突解析やレンダリングのアプリケーションを搭載して利用する。

 浜田氏はデルのエンタープライズビジネスの現況も説明。サーバビジネスは順調で、今年の第4四半期はIAサーバのシェアで「1位か、1位に肉薄するところにいける」と予測した。EMCと組んで提供しているストレージについては「デル全体のビジネスでは割合は小さい」としながらも「成長は最も速い」と述べ、順調さをアピール。ストレージは製品の幅を広げる考えで、特にローエンドモデルのDell|EMC CX200については「数カ月以内に製造工場をこれまでのEMCから、マレーシアのデルの工場に移す。デルのSCMを活用し、デルモデルをより盛り込んだ製品にする」と述べ、値下げを示唆した。

 また、長谷川氏はHPCCの構築も支援するデルのコンサルティングチーム「デル・テクノロジー・コンサルティング」(DTC)についても説明し、2000年11月のチーム立ち上げ以降、約500件のコンサルティングを実施したことを明らかにした。DTCは提供するソリューションを拡大し、UNIX環境からIAサーバへのマイグレーションや、SAP、Oracleアプリケーションの導入を担当する。長谷川氏は「DTCの人材を強化して、IAサーバのスペシャリスト集団にする」と述べた。

(垣内郁栄)

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