[Internet Week 2002開催]
国際化ドメイン標準化がやっと終了、だが普及するのか

2002/12/17

日本レジストリサービスの企画部 企画グループ マネージャー 宇井隆晴氏

 鳴り物入りで開始がアナウンスされた日本語などのアルファベット以外の文字列に対応した国際化ドメイン。すでにドメイン登録の受け付けも始まっているが、正式な開始はまだ。ネットビジネスを促進させるとも期待された国際化ドメインはどうなってしまったのか。日本レジストリサービス(JPRS)の開発部 リーダー 森健太郎氏と企画部 企画グループ マネージャー 宇井隆晴氏が12月16日に始まった「Internet Week 2002」で講演し、国際化ドメインに関するRFC(Request For Comments)が今後2〜3カ月以内に発行され、実用段階に入る見通しを明らかにした。
 
 森氏によると、日本語をはじめ、中国語、ハングルなどを使った国際化ドメインは、1999年ごろから非英語圏で自国語をドメインに使いたいという要望からインターネットの新技術について標準化を促進するコンソーシアム「IETF」で検討が始まった。国際化ドメインの導入については、インターネットのDNSがASCII以外の文字の想定していないために、包括的な技術検討が必要だったという。

 IETFに設置されたワーキンググループでは、スタンスとして「DNSやクライアントなど既存システムへのインパクトを最小限にする」(森氏)ことが確認された。さらにインターネットの基幹技術であるDNSを国際化ドメイン対応にすることは非常に大きな影響が出ると判断し、「アプリケーション側での対応が採択された」という。アプリケーション側での対応とは、日本語などアルファベット以外の国際化ドメインをWebブラウザに入力した際に、Webブラウザ側で「Punycode」というプロトコルに従って、日本語をアルファベットの対応する文字列に変換して、DNSに流すことを意味する。DNSから見れば、クライアントで国際化ドメインを使っていても、実際に対応するのはASCII化されたアルファベットのドメインなので、これまでと同様に処理をすることができる。

 国際化ドメインに関するこれら技術仕様の標準化は、2002年10月にIETFが発表。現在、RFC化する作業をしている段階で、今後2〜3か月でRFCとして発行されるとみられている。RFCが発行されることでWebブラウザなどの国際化ドメインの対応も進むとみられる。JPRSではRFC発行後、現在、「RACE」と呼ばれるプロトコルを使って日本語をASCIIに変換している日本語ドメインの登録者に対しては、Punycodeへの切り替えを依頼する。日本語ドメイン対応のネームサーバについては、RFC発行後も一定期間はRACEとPunycodeの両方をサポートするようにする。

 日本語ドメインに関しては、JPRSがすでに「www.日本語.jp」の形の日本語JPドメインをすでに運用している。宇井氏によると日本語JPドメインの登録は2002年12月1日で約5万件。今後の普及はWebブラウザの対応にかかっているが、Internet Explorerは、まだ日本語JPドメインに未対応。JPRSが配布しているプラグインツール「i-Nav」をインストールすることで日本語JPドメインを利用できる。だが、マイクロソフトは国際化ドメインに関するRFC発行後にはIEを日本語JPドメインを含む国際化ドメインに対応させる方針で、国際化ドメインの利用が増える可能性がある。宇井氏はWebブラウザの対応などが整いつつあることや、国際化ドメインの技術仕様がRFC化されることで将来性がみえ、「日本語JPドメイン名の利用事例が増加しつつある」と述べた。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
日本レジストリサービス
Internet Week 2002

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