HPが注力する「リソース・バーチャリゼーション」とは

2003/1/11

日本HPのビジネスクリティカルシステム統括本部 インフラストラクチャソリューション本部 本部長 九嶋俊一氏

 日本ヒューレット・パッカードは2003年度のハイエンドサーバ事業のフォーカス分野として、「リソース・バーチャリゼーション」事業とItanium搭載サーバの製品拡充、メインフレームからのリプレースプログラムに注力することを発表した。日本HPのビジネスクリティカルシステム統括本部 インフラストラクチャソリューション本部 本部長 九嶋俊一氏はこれらのフォーカス分野で「ほかのベンダと協力して適材適所でサービスを提供する水平分業型アプローチを採る」と説明。HPが「垂直統合型」と指摘するIBMへの対抗心を表した。

 3つのフォーカス分野の中で九嶋氏が「HPのこれからの戦略で重要になる」と指摘するのは「リソース・バーチャリゼーション」と呼ぶソリューション事業。ネットワークにつながれたサーバやストレージなどリソースを仮想化して、利用したいときに自由に利用できるようにする。物理的なサーバなどを論理的に仮想化するので、利用形態の変化に応じてサーバやストレージの組み合わせを変えることができるのが特徴。リソース・バーチャリゼーションは、HPが昨年12月に発表した企業ユーザー向けの新コンセプト「Adaptive Infrastructure」(変化に順応するインフラストラクチャ)に対応したソリューションだ。

 リソース・バーチャリゼーションを実現する製品として、HPはiDC事業者向けのソリューション製品「hp Utility Data Center リリース1.1」を昨年12月に発表。iDCのリソースを利用して、仮想サーバ、仮想ストレージ、仮想ネットワークを構築できるようにした。リソースを仮想化することでサーバ間やストレージ間の接続をWebブラウザベースのツールで変更でき、サーバに対する新機能の追加も容易にしたという。iDCの運用効率化やリソースの流動化を期待することができるソリューションで、すでに引き合いがあるという。

 2つ目のItanium搭載サーバの製品拡充では、HPはItanium2の後継CPU「Madison」(コードネーム)を搭載したサーバを2003年後半に集中して出荷する方針。ハイエンド向けからエントリ向けまでフルラインアップでそろえる予定で、九嶋氏は「HPにとって2003年はマイルストーンの年になるだろう」と述べた。2004年にはMadisonのCPUコアを2つ搭載したデュアルコアプロセッサのサーバ製品も予定している。

 フォーカス分野の3つ目、メインフレームからのリプレースプログラムは「Mainframe Elimination Program」の名称で、企業に対して旧型のメインフレームからHPのハイエンドサーバへの置き換えを勧める。メインフレーム環境で作成された資産をオープン系サーバに移す作業がポイントといい、コンバージョン技術やエミューレーション技術などを活用するという。プログラムの詳細はHPが今月中に発表する予定だ。

 九嶋氏は「発表したコンセプトを実ビジネスの中でHPがどう実現するかが重要」と指摘。3つのフォーカス分野を中心に「ITが生み出す企業のビジネス価値を最大化する」ことを目指す。

(垣内郁栄)

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