NECとの協業拡大で「HPは勝利者になる」、とフィオリーナ氏

2002/12/13

 NECと米ヒューレット・パッカードは中国市場をメインターゲットにしたアウトソーシング事業で提携した、と発表した。これまでのOEM提供、SI事業の協業から、サービス事業にまで協業の幅を広げる。両社の強みを生かすことで急成長している中国市場での事業拡大を目指す。

 両社の協業は1995年にHPがNECに対してサーバをOEM提供することで始まった。2002年5月以降は共同でオープン・ミッションクリティカルシステムのグローバル展開を図ってきた。今回の新たな協業では、中国市場に進出するグローバル企業をターゲットに、大規模な情報システム構築や運用の受注を目指す。2003年1月に両社が共同でマーケティングチームを発足させ、顧客企業の獲得を図る。中国市場の開拓に加えて、米国や日本、東南アジア、欧州でも受注を目指す。

 両社は、アウトソーシング事業を行う会社を今後1年以内に共同出資で設立することを計画。顧客企業からも出資を募って、さまざまな企業のアウトソーシングを受けることも検討している。顧客企業からシステム運用部門の担当者を受け入れる可能性もあるという。

 アウトソーシング事業では、世界160カ国をカバーし、アウトソーシング受注で多くの経験を持つHPと、ASPから基幹システムまで幅広いシステム構築のノウハウがあり、オープン・ミッションクリティカルシステムの構築実績があるNECの強みを生かす。アウトソーシングによる経営効率化を求めている企業や、グローバル・サポートを必要とする企業が対象。両社の協業で、顧客企業のSCMシステムをグローバルに連携、運用させるような世界的なアウトソーシング事業が可能になるという。

握手するHPの会長兼CEO カーリー・フィオリーナ氏とNECの代表取締役社長 西垣浩司氏

 両社はすでにNTTドコモの次期iモードシステムの構築を共同で行っている。今後は単なるシステム構築だけでなく、スタッフ業務やカスタマーサービス、SCMなどのビジネスプロセス分野の業務を受託して、顧客法人がコアビジネスに集中できるようにする。

 NECの代表取締役社長 西垣浩司氏は両社の協業について「NEC単体のアウトソーシングの事業規模は約1000億円。HPと協業することで倍増したい」と協業への期待を述べた。HPの会長兼CEO カーリー・フィオリーナ(Carly S. Fiorina)氏も「NECとはテクノロジーに関する共通のビジョンを持っている。アウトソーシングはHPの中でも成長が最も速い分野。HPとNECの協力で、両社のメリットを顧客企業に提供できる」と述べた。さらに「1990年代の勝利者が21世紀の勝利者になるとは限らない。しかし、HPは勝利者になる」と述べ、コンパック合併後のビジネス展開に自信を示した。

(垣内郁栄)

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