「分散化が新しいは単なるイメージ」、ガートナーがサーバ統合を語る

2003/2/4

ガートナージャパンのジャパン リサーチ センター リサーチディレクター 栗原潔氏

 ガートナージャパンのジャパン リサーチ センター リサーチディレクター 栗原潔氏は日本ヒューレット・パッカードと日立製作所が共催したイベント、「IT Consolidation Forum 2003」で講演し、「サーバ統合への投資が高い投資対効果を実現できる」との考えを示した。

 栗原氏は企業のIT投資が落ち込んでいることを指摘したうえで、「IT予算抑制時における投資戦略は、既存資産の有効活用、直接的効果、確実なコスト、リスク削減メリットが求められる」と説明。企業の投資は「ハイリスク/ハイリターンの投資から、ローリスク/ミディアムリターンの投資へ移っている」と述べた。投資の例としてはサーバ統合をはじめ、既存アプリケーションの統合(EAI)、EIP(企業情報ポータル)、運用管理の効率化などを挙げた。

 企業のサーバは分散化することが理想とされ、実際に分散化が進んできた。サーバを分散化する目的はWANトラフィックの削減、サーバ能力不足の解消、信頼性の向上などだった。しかし、栗原氏によると「分散化は新しい、集中型は古いという単なるイメージ」で企業がサーバを分散化したこともあったという。

 栗原氏はサーバ分散化の弊害として、過剰に分散配置されたサーバ群のために管理対象が大量、多様、遠隔という状態になって、「管理コストを押し上げている」と指摘した。インターネットも分散型のネットワークといえるが、「ファット・サーバ、シン・クライアント、ビッグ・パイプがインターネットの基本。個々のアプリケーションはほとんどの場合、集中管理されている」と述べた。

 サーバ統合によって実現されるコスト削減は、人員やハードウェア、ソフトウェアなど。将来のシステム設計や資産管理、セキュリティ確保、災害対策などの容易性も向上するという。サーバを統合することでベンダへの交渉力が強くなって、値引きの可能性なども高まることが期待されるという。栗原氏は「ネットワークコストの低下とスキルコストの高騰がサーバ統合の推進要素となっている」と指摘。「世の中のサーバの70%は分散しすぎではないか」と疑問を呈した。

(垣内郁栄)

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