「iDCの淘汰進む」、ガートナー調査は厳しい未来を予測
2002/9/5
ガートナージャパン データクエスト部門は、iDCの国内市場が年平均27.9%で成長し、2006年には2864億円になるとの予測を発表した。2001年のiDC市場は836億円だったが、新規参入業者が増え設備が過剰になったことで、ガートナーでは「大変厳しい状況」と分析している。
ガートナーによると、iDCには100社近い業者が参入しているという。新規参入業者が、市場の成長性を見誤り、過度な設備投資を増やしたため、需要と供給の格差が広がっているという。2006年には格差が若干縮小すると予測しているが、それまでに「淘汰(とうた)される企業が増える」という。ガートナージャパンのデータクエスト部門 ITサービス産業担当アナリストの浦田典子氏は、「通信キャリア系、大手システムインテグレータ系、大手PCベンダー系のiDCは残るだろうが、独立系のiDCはかなり厳しい」と話している。
2001年のiDC市場で最も大きな市場となったのは、企業に対して設置スペース、電源設備、ネットワーク接続を提供するコロケーション市場で、2001年のコロケーション市場は416億円だった。ガートナーによれば、コロケーション市場は2006年に1706億円にまで成長すると予測しているが、現状は設備の供給過剰によって低価格化が進み、「一部の事業者は投資回収も難しい状況」(浦田氏)だという。スペースの稼働率が極端に低い事業者もあり、たたき売りになっているという。
iDC事業者が企業に対して共有のサーバスペースを提供する共有Webホスティングの市場も厳しい。2001年の市場規模は290億円だったが、既存のISPやベンチャー企業が多数参入したことで、完全な低価格競争に陥っているという。一部には無料でサーバースペースを提供する事業者も現れ、市場の高成長は期待できない状態だ。そのため、ガートナーは2006年の市場規模は410億円にとどまると予想している。
最も高い成長率が期待できるのは、iDC事業者がWebサーバなどの設備を、その企業限定で貸し出す、占有Webホスティングの市場だ。ガートナーによると2001年は75億円と最も小さい市場だったが、2006年には約10倍の748億円まで成長するという。現在はコロケーションを利用している企業からの移行や、共有Webホスティングを利用している企業が、より高機能なサービスを利用する目的で移るのではと見ている。占有Webホスティング市場は付加価値性が高いサービスを提供する事業者が多く、現在高い収益を見込めるという。だが、その分事業者のスキルやノウハウが必要となり、ISPやベンチャー企業の新規参入が難しいという。
iDCの今後の市場動向について浦田氏は「インフラ提供に加えて、アプリケーション・サーバを連動させたり、Webの運営管理を請け負うなど付加価値をどう提供するかが、iDC事業者のポイントになる」とコメントしている。
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