無線ICタグの標準化争い、日本ユニシスは“二刀流戦略”
2003/3/14
日本ユニシスは、センサーデバイスからのリアルタイムデータを一元的に管理し、企業内のビジネスデータと組み合わせて、業務プロセスの迅速化や高品質化を促進する同社のアーキテクチャ「Resource Operation Management Architecture」(ROMA)を、無線ICタグを使ったオートIDとユビキタスIDの両方の規格に対応させる考えを示した。無線ICタグの標準化をめぐっては、国際団体のオートIDと国産のユビキタスIDが対立しているといわれている。日本ユニシスは標準化をにらみながら、ROMAを両方の規格に対応させる“二刀流戦略”を採る方針で、顧客ニーズに幅広くこたえる。
ROMAは、さまざまなセンサーやGPS、ICカード、カメラなどのデバイスをネットワークに接続し、そこから得られる情報を統合することで、ビジネスデータとして企業のCRMやSCMなどで自由に扱えるようにするアーキテクチャ。企業の経営戦略に合わせて、デバイスデータを可視化し、ビジネスプロセスに連携させる。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)が主導する無線ICタグの規格、オートIDは、製品名や価格、有効期間など個々の製品を識別するためのコード「Electronic Product Code」(EPC)と、EPCにひも付けされた情報を表示する仕組みの「Object Naming Service」(ONS)、製品関連情報のXMLベース記述言語「Physical Markup Language」(PML)、ネットワーク上でEPCを扱うためのSavantで構成される。
日本ユニシスのインテグレーションサービス部 メソドロジ&アーキテクチャ課長 羽田昭裕氏 |
日本ユニシスは、オートIDのEPCと、ほかのセンサーデバイスを連携させる仕組みや、SCM、CRMとEPCデータを連動させる技術を研究。無線ICタグと、温度・湿度センサー、GPSなどのデバイスを組み合わせて、製品輸送中の品質管理や、GPSを活用した配車管理などが可能になるという。
日本ユニシスは、東京大学の坂村健教授が主導しているユビキタスIDの活用も同時に考えている。日本ユニシスのインテグレーションサービス部 メソドロジ&アーキテクチャ課長 羽田昭裕氏は「無線ICタグの企業システムへの応用は、一部の顧客と共同で昨年から始めている。無線ICタグだけではできることが少ないため、ほかのデバイスと連携させることが重要だ」と述べた。
(垣内郁栄)
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