[eWEEK] MSに忍び寄るオープンソース運動の足音
2003/3/25
Darryl K Taft
ワシントン発――全米各州で連邦政府によるインプリメンテーションの制限緩和が進む中、オープンソースソフトウェアは今後かなりの数の顧客を獲得する機会を得るだろう。このような傾向が高まる状況でも、マイクロソフトは、オープンソースソフトウェアと完全に共存できると主張している。
テキサス州のJohn Corona州議会議員は先日、同州が購買ソフトウェアとしてオープンソース技術を検討できるようにする「法案1579号」を提出した。3月初旬には、オレゴン州のPhil
Barnhart州議会議員が同じような文言を含む「法案2892号」を提出している。
全米の各州同様、これらの州でオープンソースが許可されていないのは、州プロジェクトの入札資格として営利企業体である必要があったためだ。その結果、The
Apache Software Foundationなどの純粋なオープンソース組織のソフトウェアには入札資格がなかった。州レベルで審議中のこれらの法令は、南アメリカやヨーロッパにおける同様の構想に続いたものだ。
それでも、マイクロソフトはこの傾向にあまり動揺していない。同社のSSI(Shared Source Initiative)プログラムマネージャ、Jason
Matusow氏は、「Open Standards/Open Source for National and Local eGovernment
Programs in the U.S and EU」カンファレンスで、「2つの世界は共存できる。一方がもう一方を淘汰してしまうようなことにはならない」と語った。
マイクロソフトの技術はオープンな標準技術をサポートし、Mono Project(米Ximianによって開発中のオープンソース版.Net Framework)構想も生まれている、とMatusow氏は指摘する。
実際、マサチューセッツ州ボストンで開催された「Web Services Edge East」カンファレンスでは、XimianのCTO(最高技術責任者)でMono
ProjectのプロジェクトリーダーであるMiguel de Icaza氏が、サーバ側コンポーネントのバージョン1.0を、Monoが9月に投入すると明らかにした。同氏はさらに、PowerPCプラットフォームをサポートし、x86コードに最適化された第2世代のJITコンパイラをMonoが公開することも表明した。
だが、フロリダ州サラソタにあるFCCI Insurance Groupのアプリケーションソフトウェア開発スーパーバイザー、Steven Goldsmith氏によると、オープンソースの勢いを本格的に活用するためには、マイクロソフトによるさらなる努力が必要だという。
「(マイクロソフトは)仕様の一部だけでなく、.NETのAPI全部を公開するなど、オープンソースコミュニティに何らかの寄与をすべきだ。すべてのAPIがオープンでない場合、Monoに100%の互換性を常に期待すべきではない。(SSIは)オープンソースを真似ただけの、熱意の感じられない取り組みだ」(Goldsmith氏)。
SSIでは、同社に重要な顧客が同社のソースコードにアクセスできるようにしている。オランダのアイントホーヴェンに本社をおくコンサルティング会社、Atos
Originのデベロッパ、Jarma Poulsen氏は、「ソフトウェアライセンス経由での自由な譲渡を認めず、ソースコードだけを公開するのはフリーソフトウェアとは違う」としている。
ワシントンを拠点にするCenter for Open Source & Governmentを設立した理事のTony Stanco氏は、デベロッパに高品質のオープンソースソフトウェアをもっと多く投入させるための刺激策として、「Open
Source Threshold Escrow Program」を提案している。O-STEPを経由することで、デベロッパは一定の収益を確保したソースコードをオープンソースに譲渡することになる。
政府にソフトウェア、ハードウェア、およびサービスを供給するGTSI(バージニア州シャンティリー)のCEO(最高経営責任者)、Dendy Young氏は、オープンソースからのプレッシャーは感じられないという。
「強固な大規模システムの運用に政府がApacheを採用することは考えられない。政府システムの運用は責任が伴うものであり、実績のあるシステムが望まれる」(Young氏)。
ヒューレット・パッカード(HP)のオープンソースプログラム事業部マネージャ、Stormy Peters氏によると、オープンソースをサポートする事例は多いが、それをサポートしない方が良い理由も多い。Peters氏はコロラド州フォートコリンズで、「製品は管理のポイントであり、マイクロソフトがWindowsをオープンソース化するようなことは考えられない。Windowsはマイクロソフトにとって最高の資金源であり、これのオープンソース化は理にかなわない」と語った。
[英文記事]
Open-Source Movement Gains Ground on Microsoft
[関連リンク]
マイクロソフト
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