[eWEEK]
オープンソース版.NET“Mono”による初めての成果
2002/7/30
July 22,2002 Darryl K Taft
開発開始から1年、米マイクロソフトの.NETプラットフォームのオープンソース版開発プロジェクト、Mono Projectが最初の成果を披露しようとしている。(編集局注:現地時間7月26日にMonoの最新バージョン0.13がリリースされている。)
このMono Projectの技術リーダーを務めるMiguel de Icaza氏によると、この構想から誕生したのは、高速x86ランタイムエンジン、クラスライブラリをコンパイルできる自立C#コンパイラ、改良版GNOME(GNU Network Object Model Environment)用開発ツールを含む52万行のコードだという。
さらに、de Icaza氏は、デベロッパはASP.NETやADO.NETなど多数の.NET仕様をベースにしたアプリケーションを、Linuxを使って開発および実行できるようにもなると語る。ASP.NETを使うことで、デベロッパは古い基幹業務のデータにアクセスするためのWebベースの方法で開発できるようになる。一方のADO.NETは、バックエンドのデータベースにアクセスするためのフレームワークとなっている。ちなみに、de Icaza氏は、Linuxディストリビュータ/オープンソースシステムデベロッパの米XimianでCTOを務める人物だ。
Monoが成功すれば、オープンソースデベロッパはマイクロソフトのプラットフォームへの移行コストをかけることなく、LinuxやUNIXシステム上で.NETの機能を使えるようになる。
De Icaza氏は先週、米サンディエゴで行われたO'Reilly Open Source ConventionでMono Projectコンポーネントのデモを行った。
「MonoはWindowsとLinux上で動作する。アプリケーションは.NET環境で開発し、実行はMono上でダイレクトに行えるだけでなく、Windows上のMonoランタイムで試して、問題の有無を確かめることもできる」(de Icaza氏)
英国のソフトウェア開発/コンサルティング会社、IP80のデベロッパ、Craig Williams氏は「Windows Formsネームスペースを使って書かれたアプリケーションがサポートされるようLinuxがC#を完全にサポートすれば、現在Windows向けのみの開発を行っている企業がLinuxデスクトップ向けの開発も行うことができる。(MSのプラットフォーム向けの開発に)専念しなければならない状況にあるものの、このようなクロスプラットフォームの開発を望んでいるデベロッパは多い」と語っている。
米Verizon CommunicationsのWeb開発スペシャリスト、Jason Melvin氏もこれと同意見だ。
「トレーニングに関して現状では静観を決めているので、Mono Projectで最も重要な節目になりそうなのはC#の機能だ。マイクロソフトは自分と自分のキャリアにとって素晴らしい存在だったが、ライセンスやコピープロテクトなどの問題の動向を考えると、Monoの行方を見極めるまではどうすることもできない」(Melvin氏)
MonoではGNOME開発ツールを使い、デベロッパがC#を使って能率的なGNOMEアプリケーションを開発できるようにするGTK#(GTKシャープ)と、GNOME環境で特定のストリーミングファイルをデコードできるようにするVorbis#を開発した。これらは、直接.NETと関係がないものの、GNOMEのデベロッパがより優れたアプリケーションをさらに効率的に開発できるようにしてくれるという。
De Icaza氏によると、Monoは部品の一部が完成しているものの、残りは年末までかかるという。例えば、ASP.NET機能などはプロジェクトの3割しか作業が進んでいない。
「サードパーティ製コントロール機能を実行可能にする既存のサポートではなく、データベース本体に接続してステートを保存するセッションステートの保存機能などが欠けている」(de Icaza氏)
同氏によると、同プロジェクトによってデベロッパは最終的にWebサービスをサポートできるようになるという。プロジェクトのコーディネータはこれまでインフラを用意できておらず、エンジニアは.NETで2種類あるSOAP(Simple Object Access Protocol)の実装の1つを開発した。de Icaza氏によると、同プロジェクトにはリモーティングバージョンのSOAPがあるが、大半のデベロッパはASP.NETバージョンとVisual Studio .NETを使ってWebサービスの開発を行っているという。プロジェクトのエンジニアは現在、ASP.NETを認識するWebサービスの検討も進めているところだ。
[英文記事]
Open-Source .Net Mono Bears First Fruit
[関連リンク]
Mono
Project
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