MS、「社会的貢献なしに、これ以上のビジネスは難しい」
2003/4/17
マイクロソフトの取締役 経営戦略担当 東貴彦氏は、「マイクロソフトが今後もこの国でビジネスモデルを継続して発展させていくには、社会的な責任をきちんと果たすことと、ソフト産業を育成、発展させるためにソフトの価値を広めることが重要」と述べて、「この2つがマイクロソフトのノンコマース(非商用)活動の中心になる。この活動を強化するために、公的分野への取り組みを行うグループをワールドワイドで組織する」と述べて、公的事業を行う専門部隊を発足させる考えを明らかにした。
マイクロソフトの取締役 経営戦略担当 東貴彦氏 |
公的事業を行う新グループの陣容や発足時期は未定。マイクロソフトに対しては、ソフト開発の閉鎖性や製品価格、市場シェアの高さについて、政府や自治体内部から疑問の声が相次いでいた。マイクロソフトは公的事業の専門部隊を組織することで、それらの“誤解”を解いて、社会的な会社の位置づけをアップさせたいという考えがある。
マイクロソフトが国内での自社に対する風当たりの強さに気づいたのは、今年2月に会長のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏が来日し、自民党本部を訪問したときだった。東氏によると自民党ではe-Japan重点計画特命委員会の議員ら30人と関係省庁の担当者100人が待ち受けていた。その意見交換の中から、東氏は「マイクロソフトが政府からどのように見られているかが分かった」という。議員からはソフトのソースコード開示などについて厳しい意見が続出したが、東氏は「批判の裏にはマイクロソフトへの期待がある」と考えた。その期待にこたえられないのは、「マイクロソフト自身が政府から何を期待されているかが分かっておらず、社会的プレゼンスを自覚してこなかった」からだ。
東氏によると、政府や自治体がマイクロソフトに期待していることは、遅れているとされる日本の電子政府を他国に負けないように推進することと、ITを使って日本の競争力を向上させること、ビジネスのグローバル化が進む中で、日本に世界でのリーダーシップを取らせることだ。東氏は「この危機意識の下で日本のIT政策は進んでいる。これに対してマイクロソフトはこたえているのか」と述べ、「社会的貢献を明示的に示さないと、マイクロソフトのこれ以上のビジネスは難しい」との認識を示した。
その結果として導き出されたのが、公的事業への取り組みを強化する専門部隊の発足だ。マイクロソフトは製品のセキュリティを懸念する声に対して、ソースコードを開示する「シェアードソースイニシアティブ」や、政府を対象にパートナーシップを組んでソースコードや、さまざまな技術情報を提供する「政府向けセキュリティプログラム」を展開している。教育事業やデジタルデバイドへの対策も行う。マイクロソフトの公的事業はどう評価されるのか。東氏は「全社が一丸となって公的分野への取り組みを推進する。企業としてのマイクソフトの総合力が試される」と述べて、強い決意をアピールした。
(垣内郁栄)
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