「32ビット互換が成功をもたらす」、AMDが64ビット新プロセッサ

2003/4/24

 日本AMDは32ビットのx86アーキテクチャに対応したエンタープライズサーバ向けの64ビットプロセッサ「AMD Opteron」(オプテロン)の出荷を開始したと発表した。32ビット、64ビットのアプリケーションを動作させることが可能。日本AMDの代表取締役社長 堺和夫氏は、「32ビットアプリケーションを利用しながら64ビット環境にシームレスに移行できる」と特徴を説明した。

日本AMDの代表取締役社長 堺和夫氏

 AMDが今回発売するのは、2wayに対応したOpteron モデル240(クロック数は1.4GHz)と、モデル242(同1.6GHz)、モデル244(同1.8GHz)。1000個ロットの単価は240が3万5375円、242が8万6250円、244が9万9250円となっている。AMDは、8wayに対応する「モデル800シリーズ」を今年第2四半期後半に、1wayの「モデル100シリーズ」を第3四半期に出荷を予定している。

 AMDはエンタープライズ向けにさまざまなクラスのOpteronを投入することで、「1企業に1プラットフォームを実現し、TCOの削減が可能だ」(日本AMD コンピュテーション製品グループ テクニカルマーケティング部 部長 小島洋一氏)と、インテル製プロセッサからのリプレースを企業に訴える。小島氏はインテルが64ビットプロセッサの「Itanium」で、32ビットのx86をサポートしていないことについて、「x86に互換性がないシステムは、企業の64ビットコンピューティングへの移行の障壁となっている」と述べ、「32ビットの互換性が成功をもたらす」と強調した。

 AMDはOpteronで採用した、x86を64ビットに拡張したアーキテクチャを「AMD64」と呼んでいる。9月には、AMD64アーキテクチャを基に、32ビットと64ビットをサポートするデスクトップPC、ノートPC用のプロセッサ「AMD Athlon 64」を発表する予定となっている。

日本AMDのコンピュテーション製品グループ テクニカルマーケティング部 部長 小島洋一氏(左)と、マイクロソフトの製品マーケティング本部 Windows Server製品部 部長 高沢冬樹氏

 Opteronについては、マイクロソフトが64ビットをネイティブでサポートするWindows Server 2003を開発中で、今年中ごろにもベータ版をリリースする予定となっている。米IBMはOpteronを搭載するサーバを開発することを発表。LinuxではレッドハットやSuSEなどが対応を表明。オラクルやコンピュータ・アソシエイツも対応することを発表した。

 Opteronの成功は、ソフトの対応やサーバへの搭載などで、いかにパートナーを作り、増やすかにかかっている。会見では小島氏と、マイクロソフトの製品マーケティング本部 Windows Server製品部 部長 高沢冬樹氏が握手するなど、AMDはパートナーがOpteronを支持していることを強調した。

(垣内郁栄)

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日本AMDの発表資料

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