やはり問題はActive Directoryだった、MS
2003/5/14
マイクロソフトが記者向けに開催する「Windows Server 2003 Reviewer's Workshop」も今回で5回を数える。今回のテーマは追加コンポーネントおよび関連製品のテクニカル・レビュー。実際のリリース時期は2003年第3四半期がその大半を占めるこれらのコンポーネント/製品の一部は、Exchange Server 2003との整合性を確認する必要が求められるエンタープライズ規模の用途を想定した拡張機能と位置付けられる。
あらためて紹介されたのは6つのコンポーネント/製品だが、大きく「IT Infrastructure機能の拡張」と「Information Worker Infrastructure機能の拡張」という2つのポイントに絞られる。
前者のカテゴリに含まれるのは、「グループポリシー管理コンソール(GPMC)」と「Microsoft Metadirectory Services(MMS) 2003」「Automated Deployment Services(ADS)」の3つである。これらはいずれも大幅な改良を加えられたActive Directoryをさらに拡張する機能を有する。
GPMCは、そもそも従来のActive Directoryの“弱点”であるグループポリシーの運用管理機能面の弱さを補完するために生まれた。(これまでのActive
Directoryには)グループポリシーオブジェクト(GPO)のバックアップとリストアの標準的な機能がなく、また実際に適用されるGPOの把握が困難だった。さらにGPOの運用管理タスクを自動化しにくいという、複数拠点にまたがるシステム構築、運営を行う必要がある大規模企業にとっては、“致命的な欠点”を負っていたのである。GPMCを導入することで、単一のユーザーインターフェイスから、複数フォレスト、複数ドメインでのグループポリシーを管理することが可能となる。また、テスト環境のグループポリシー設定を運用環境にスムーズに移行することができるなど、顧客の実際的な運用ニーズにもこたえる機能を盛り込んだ。
MMSは、「Microsoft Metadirectory Services(MMS) 2003 Enterprise Edition」と「Microsoft
Metadirectory Services(MMS) 2003 Standard Edition」の2つの製品としてリリースされる。Enterprise
Editionが、さまざまな異種のディレクトリ統合に対応するのに対し、Standard EditionはActive Directoryのコンポーネント上でのみ動作する。例えば、異なるActive
Directoryフォレスト間の属性値の同期や異なるExchange Serverの組織間でグローバルアドレスリスト(GAL)を同期するなどの利用シナリオが想定できる。
ADSは、マイクロソフトが推進する自律型コンピューティングのビジョンである「Dynamic System Initiative(DSI)」を具現化する最初のコンポーネント。サーバのプロビジョニング作業の自動化や多数のサーバをスクリプトで管理することが可能になる。ただし、ADSが正常に機能にするには、ハードベンダなどのビジネスパートナーとの協調関係が築かれていなければならないが、同社
製品マーケティング本部 Windows Server製品部 シニアプロダクトマネージャ 吉川顕太郎氏は「すでにHP、NEC、富士通、IBMなど大手ベンダとの協力関係が成立している」と自信をみせる。
「Information Worker Infrastructure機能の拡張」のカテゴリで紹介されたのは、「Windows SharePoint Services(WSS)」と「Microsoft Real-Time Communication Server 2003 Standard Edition(RTC Server)」および「Windows Rights Management Services(RMS)」の3つの製品。
WSSは、さらに「Windows SharePoint Services」と「Windows SharePoint Portal Server
2003」という2つの“SharePoint”ブランドに分かれる。Windows SharePoint Servicesは「Windows
SharePoint Team Service」の後継製品。アーキテクチャに.NETを採用していなかったWindows SharePoint
Team Serviceを改良し、「Windows SharePoint Services」と「Windows SharePoint Portal
Server 2003」ともに同一仕様とした。区分けとしては、Windows SharePoint Servicesがチームサイトでの使用、企業ポータル向けにはWindows
SharePoint Portal Server 2003が想定できる。同社では「ユーザー規模の使い分けではなく、あくまで用途別の違い」(吉川氏)であることを強調する。
RTC Serverは、SIP(Session Initiation Protocol)ベースのコミュニケーション機能を強化、インスタント・メッセージングによる時間、空間を超えた“真のリアルタイム”コミュニケーションを実現し、RMSは一般ユーザーによるアクセスの“権限”管理を制限し、機密情報の流出防止を図ることができるようになる。
(編集局 谷古宇浩司)
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