ユーザー企業が語る「Windows Server 2003」の“いいところ”

2003/3/13

マイクロソフトのスタッフとユーザー企業、システムインテグレータが登壇

 日経BP社とマイクロソフトは3月12日、Windows Server 2003を中核としたテクノロジフォーラム「ITフォーラム2003」を開催した。同フォーラム中の出色は、マイクロソフトのスタッフとシステムインテグレータ、ユーザー企業によるパネルディスカッションだろう。「『Windows Server 2003』が拓く、新たなソリューション」と題して行われた議論は、Windows Server 2003の中でも最も注目を浴びるActive Directoryの技術的な側面に関するものとなった。

 ユーザー企業の代表として登壇したジェイアール東日本情報システム 技術部 サブリーダーの鍬守文雄氏は、100社以上の子会社を抱える規模のグループ企業群にとってのディレクトリ・サービスについて、「現実問題として、大規模なグループ企業で適用できるディレクトリ・サービスは今のところ存在しないのではないか」と指摘、システムインテグレータの代表として発言した大塚商会 テクニカルソリューションセンター BackOffice ソリューショングループ SE課長 清水達哉氏も、「ハードウェアとシステムという2つの局面で情報システムが分散化され、統合的に管理するのは現実問題として非常に困難」と話した。

 サーバが分散し、拠点ごとにさまざまな情報システムが構築されてしまう状況を避けるのは非常に難しい。このような中で、従業員1人1人の認証情報を管理し、アプリケーションの使用状況なども把握するという管理体制の構築は果たして可能なのか。マイクロソフト 執行役員 製品マーケティング本部 本部長 佐藤哲也氏は言う。「(Windows Server 2003は)Windows Server 2000で搭載したグループ・ポリシー機能を強化し、システム全体の拡張も視野に入れた柔軟性を獲得したことで管理性能面は飛躍的に向上した」。

 確かに、2003は2000と比較すると改善された部分が見られる。改善点を端的に表現すると「管理者向け機能の強化」といったところか。鍬守氏はグループ・ポリシー・マネジメント・コンソール(GPMC)とボリューム・シャドウ・コピーが可能になった点を挙げる。前者は、簡単に言えば、あるグループに適用したポリシーをほかのグループにそのまま適用できる機能。後者は、例えばあるユーザーがファイルを開いていると、そのファイルはコピーできないが、2003からは文字通りシャドウ・コピーが可能になる。

 マイクロソフト ウィンドウズ開発統括部戦略プラットフォームグループ プログラム・マネージャ 衛藤隆司氏は「GPMCは個人的にもベストツールだと思う」と言い、「テスト環境で設定したグループ・ポリシーを本番環境にそのまま移行できるようになった。このような利便性は当たり前だったが、今までなかった」と話す。
 
 このほか、管理者を視野に入れたコマンドラインツールの強化やセキュリティ面からみたActive Directoryのメリットといった話題で議論が盛り上がった。

(編集局 谷古宇浩司)

[関連リンク]
マイクロソフト
日経BP社

[関連記事]
MSは自信あり、Windows Server 2003のセキュリティ機能 (@ITNews)
価格性能比が8.5倍、Windowsサーバの歴史 (@ITNews)
必ずしも順風満帆ではないMSのサーバ・ロードマップ (@ITNews)
Webサービスだった2002年、2003年のIT業界は? (@ITNews)
アプライアンス・サーバで「シェア6割を狙う」とMS (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)