サイベースのMac OS X対応RDBMSは「安くて使いやすい」

2003/5/20

サイベース代表取締役社長の澤辺正紀氏

 サイベースは、アップルコンピュータの「Mac OS X」に対応したリレーショナルデータベースシステム(RDBMS)「Adaptive Server Enterprise 12.5 for Mac OS X」(以下、ASE)を5月20日に販売開始すると発表した。ASEは、「Mac OS Xに対応した初のハイエンドRDBMS」(サイベース)。サイベース代表取締役社長の澤辺正紀氏は「Mac OS Xとの組み合わせで、安くて使いやすい画期的なプラットフォームになると期待している」と述べた。

 ASEはLinux、UNIX、Windowsなど、ほかのプラットフォーム版と同一の機能を持つのが特徴。Mac OS X v.10.2以降が稼働するXserveやPower Macなどで動作する。iBookやiMacでも動くという。Mac OS Xの新機能、「Rendezvous」(ランデブー)に対応し、ネットワークでつながったDBを自動認識することができる。XMLやJavaをサポートし、SNMP(Simple Network Management Protocol)にも対応。ヒューレット・パッカードの「OpenView」やBMCの「Patrol」、IBM Tivoliなどで管理可能だという。

 ほとんどのインターフェイスを日本語化し、付属ドキュメントなども翻訳した。オプションとして、Java単独、またはJavaとSQLを組み合わせたストアド・プロシージャの作成を可能にする「XML Management」と、Mac OS X上のファイルシステムにある非リレーショナルなデータにアクセスできるようにする「Content Management」を用意する。

 ASEは利用規模別に3つのエディションを用意。「Enterprise」は大規模なクライアントサーバ接続をするエディションで、機能制限はない。「Small Business」は主にWebサイトやアプリケーション・サーバ経由でアクセスして利用するエディションで、最大256アクセスまでの同時接続に対応する。「Developer's」はアプリケーション開発用となっている。価格は、Enterpriseが1CPU当たり224万9000円。Small Businessが1CPU当たり74万9000円となっている。Developer'sはWebサイトから無償でダウンロードできる。サイベースによると、オラクルのOracle9iやマイクロソフトのSQL Serverなど、競合する製品のWindows版と比較して、15万〜30万円程度格安だという。

 澤辺氏は、ASEで狙う市場として「出版、印刷、デザイン、教育、建築などこれまでサイベースが未開拓な分野にアプローチしたい」と述べた。サイベースはアップルと協力して、ASEの評価実験を実施したり、米国で行っているSQL ServerからMac OS X版ASEへの乗り換えキャンペーンを国内でも検討するという。今年第4四半期には、Mac OS X対応のレプリケーションサーバをリリース予定で、Mac OS Xでのミッションクリティカルシステムのデファクトを目指す。

(垣内郁栄)

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サイベースの発表資料

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