MSBlast対策で苦渋を味わうマイクロソフト

2003/8/21

厳しい表情で説明するマイクロソフトの取締役 経営戦略担当 東貴彦氏

 マイクロソフトの取締役 経営戦略担当 東貴彦氏は8月12日以降、流行しているワーム「MSBlast」について、「マイクロソフトはTrustworthy Computingとしてコンピュータの信頼性を高める施策を行ってきた。それにもかかわらず一般ユーザーの間で多数の感染者を出したことは大変残念に思う」と述べた。マイクロソフト幹部がMSBlastについてコメントしたのは初めて。全社を挙げてセキュリティ対策を続けているにもかかわらず、その努力をあざ笑うようなワームが続出する現実に苦渋の表情を見せた。

 東氏はMSBlastについて、「マイクロソフトはこの何年か、セキュリティに注力してきただけに非常に悔しい思いをしている」と本音を吐露。「このようなワームを作ってばらまく行為については、個人的にも強い不快感と憤りを感じる」と怒りを述べた。東氏は一般ユーザーの間で感染被害が多かった原因として、「インターネットに依存した対策の告知が中心となり、十分な周知徹底にならなかった」と反省。またマイクロソフトがインターネットで公開した対策法についても、「一般ユーザーにとっては分かりにくかった」と課題を示した。

 マイクロソフトはMSBlastの感染でPCが再起動を繰り返し、セキュリティホールの修正プログラムを適用することができないユーザーに対し、無償の緊急対策用CD-ROMを今週末にも配布を開始する計画を発表した。CD-ROMはトレンドマイクロやラック、シマンテックなどセキュリティベンダを通じて約20万枚を配布する予定。これまで別々のWebサイトで配布してきたセキュリティホールの修正プログラムと、セキュリティベンダが作成したMSBlastの駆除ツールを1つのCD-ROMに収録。インターネットに接続できなくなっているユーザーに対して、量販店などで直接配布する。

 さらにマイクロソフトは、Windowsの標準設定を変更することも計画。Windows XPにあるファイアウォール機能を出荷時にオンにすることや、Windowsアップデートでの自動ダウンロードを標準設定にすることを計画している。PCベンダと協議し、順次実施していく考えだ。

 東氏は、MSBlastの企業システムへの影響については、「最小にとどまった」と指摘。「企業システムの管理者の意識の高さやパートナーの努力、地域ボランティアの活動がありがたかった」と述べた。

(垣内郁栄)

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マイクロソフトの対策ページ

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