UML2.0の登場で幸せになるのは誰か
2003/8/30
オブジェクト・テクノロジー研究所 技術部 ディレクター 和田周氏 |
UML2.0の正式仕様とされるドキュメントはすでにOMGのWebサイト(http://www.omg.org/uml/)からダウンロード可能だが、正式にリリースされたわけではない。現段階は、かなり詳細な整合性のチェックやエラー・チェックを行っているところで、リリース時期は2004年の中盤以降に持ち越されることになっている。とはいえ、2002年の時点では、2003年春ごろに正式リリースが行われる、との噂が流れている。リリース時期とは、すべての標準化作業が問題なく完了する時期であり、それがいつのことになるのか把握している人間(少なくとも個人)はいないようである。
「2nd MDA Technology Forum」(主催:オブジェクト・テクノロジー研究所)で講演した同研究所 技術部 ディレクター 和田周氏はあらためてUML2.0の概要について解説を行った。UML2.0に関する情報は仕様書の形でWeb上からダウンロードできるものの、ポイントを把握するのはかなり面倒な作業だ。和田氏はUML2.0における変更点を『利用者から見た観点』と『ツール実装者から見た観点』に分けて解説、後者においてメタレベルの多くの変更を加え、UML2.0対応ツール、特にモデル情報を扱うようなツール(コードの自動生成、変換、相互運用)を開発する際のインパクトが大きいと指摘した。例えば、UML1.5以前のバージョンでは、ダイアグラム間の相互運用が不可能であり、あるツールで作成したダイアグラムをXMIに変換したとしても、モデル情報が厳密に定義されていないため、ツールをまたがった途端に互換性が保たれなくなるという問題が指摘されていた。
つまり、UML2.0はダイアグラムの記法自体にドラスティックな変更点があまりないため、見た目のインパクトは少ないが、UML対応ツールの利便性向上、ひいてはOMGが提唱するモデルベースの開発手法の応用においては劇的な変化を引き起こす可能性が大きいといえる。
(編集局 谷古宇浩司)
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