「強敵はブロケードではなく、シスコ」、マクデータ

2003/8/6

米マクデータ ストラテジック・マーケティング・アドバイザー ブランドン・ホフ氏

 米マクデータ ストラテジック・マーケティング・アドバイザー ブランドン・ホフ(Brandon Hoff)氏が来日した。SAN(Storage Area Network)のファブリック・スイッチ市場で気を吐く同社の戦略と今後のSAN市場の動向を聞いた。

 SAN市場の動向を米国と日本で比較した場合、2〜3年の開きがあるとよく言われる。ホフ氏もそうした認識で日本市場を見つめ、米国発のトレンドを世界規模で浸透させる戦略を打ち立てている。では、現在、米国のSAN市場で最も注目されている“事柄”とは何なのだろうか。ホフ氏は「管理の自動化、簡素化、(管理)コストの削減を実現する具体的なソリューション」であると話す。かつて複数のスタッフが常駐し、データのバックアップをテープで行うために年間100万ドル近くもかけた時代は終了した、とホフ氏は言う。

 確かに「管理」という単語は、ストレージに限らず、最近のIT業界でよく耳にする言葉である。企業が蓄積するデータは年々増加し続け、システムは更新するたびに、新たな技術を導入、さらに複雑な様相を呈することになる。しかし、「ストレージ・システムの管理で最も利用率が高いツールは実はVisioとExcelである」(ホフ氏)というおかしな状況がいまだに続いているのである。

 マクデータは、ストレージネットワーク管理アプリケーション「SANavigator バージョン4.0」と、HPのOpenViewやIBMのTivoliといった代表的なエンタープライズ管理フレームワークとの接続を可能にする「Enterprise Fabric Connectivity Manager バージョン8.0(EFCM)」を日本市場に投入することで、SANの管理という側面で問題視される点を解決する道を示している。「TivoliやOpenViewは幅広い範囲でアプリケーションの稼働状況などを監視するが、SANavigatorはストレージに焦点を絞った管理ニーズを満たす」とホフ氏。特にストレージのセキュリティ面におけるノウハウに自信を持つマクデータは、システムの全体的な“管理”を行う一方で、ストレージのみにポイントを絞った“管理”も必要だと訴える姿勢を崩さない。

 2004年同社は、i-SCSIおよびFC-IP対応のストレージ・スイッチ製品の出荷を計画しているという。ファイバチャネルがSCSIケーブルの排除を目的として誕生し、今後SANのネットワーク環境が徐々にIPベースへと移行していくとの流れがあるからだが、必ずしもIPベースへの移行がバラ色だとは限らないとホフ氏は見ている。

 「ファイバチャネルは、堅牢で安全性が高いのが特徴。一方、コスト削減のニーズが高まるにつれて、i-SCSIのニーズが高まりつつある。IPは既存のSAN環境を拡張するのに適した技術であり、トレンドがいきなり変わることはない」と予測している。そのうえで、「SANスイッチ市場の最大のライバルはシスコ。ブロケードではない」と断言した。

(編集局 谷古宇浩司)

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マクデータ・ジャパン

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