電子メール送信の専用アプライアンス、1時間に100万通を送信
2003/10/21
米IronPort SystemsはUNIXサーバで10台分のパフォーマンスを持つという電子メールゲートウェイのアプライアンス「IronPort A60」と「IronPort C60」を販売代理店を通じて国内で出荷すると発表した。
IronPortはソリトンシステムズと販売代理店契約を結んだ。NECシステム建設とも近く契約する。IronPort A60は電子メールの送信に特化したアプライアンス。大量の電子メールを送信する企業やマーケティング会社向け製品で、1時間に100万メッセージの送信が可能。米ダブルクリックは電子メールサーバとして使っていた300台近くのUNIXサーバを、30台のIronPort A60に置き換えたという。高い電子メール送信のパフォーマンスを誇るが、大量の電子メール送信で相手先の電子メールサーバに負荷がかからないように、電子メールの送信スピードを調整できる。
米IronPortが出荷する「IronPort A60」 |
ユニークなのは大量の電子メールで「スパムと思われることを防止する機能」(極東担当ディレクター 脇山弘敏氏)だ。IronPort A60の「バーチャルゲートウェイ技術」は、1台のIronPort A60に対して、複数のIPアドレスを持たせることができる。マーケティング企業は、顧客ごとにIPアドレスを割り振って、電子メールを大量に送信する。電子メールを受信した企業がその電子メールをスパムと判断し、その後の受信を拒否しても、マーケティング企業は別のIPアドレスで送信できるという仕組みだ。IronPort A60は最大で256個のIPアドレスを割り振ることが可能。IronPort C60は16個のIPアドレスを割り振ることができる。
また、送信先の1つの電子メールサーバがダウンして、別のサーバ向けの電子メールが送信できないことを防ぐために、IronPort A60には送信する電子メールをドメイン別に管理する機能がある。障害などで電子メール受信が滞るドメインがあると、IronPort A60はそのドメインをパスし、別のドメイン向けの電子メールを優先する。
IronPort A60は電子メールの送信状況をリアルタイムに監視することが可能で、詳細なログ管理ができる。日本でもすでに電子メールマガジン配信のまぐまぐが携帯電話向け電子メールマガジンに使うことを決定。ADSLプロバイダのヤフー・BBもユーザーへのメンテナンス情報の送信に利用している。
IronPort C60は電子メールの送受信が可能なゲートウェイ・アプライアンス。IronPort C60は、スパム送信業者のブラックリスト、苦情情報などをまとめている「SenderBase」の配信者評価情報を基に、受信した電子メールを評価付けし、スパムと判断した場合は、削除するなどの措置を採ることができる。別に「Brightmail」のコンテンツフィルタリング機能もあり、二段階でスパムをチェックする仕組みになっている。コンテンツフィルタリングは受信する電子メールだけでなく、送信する電子メールにも有効で、企業の内部情報流出防止などにも利用できる。
IronPort A60、IronPort C60はオープンソースの電子メールサーバ「sendmail」を基に開発した。IronPort A60、IronPort C60とも1000万円前後で販売される予定。ほかに中小規模企業向けで、500万円前後のIronPort A30、IronPort C30がある。
(垣内郁栄)
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IronPort
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