「Mac OS X Server 10.3」、あるいはオープンソース技術の集積体
2003/11/14
アップルコンピュータ プロダクトマーケティング課長 鷲滝薫氏 |
世の中には数多くのサーバOSが存在する。IT業界でいまだに“異端児”の称号をほしいままにするアップルが、独自の開発思想に基づいて市場に問うサーバOSが「Mac OS X Server v10.3」である。Free BSD 4.8をベースに最新のオープンソース・コンポーネントをどん欲に取り込んだこのOSは、あたかもオープンソース技術の集積体と位置付けられる。
「Mac OS X Server v10.3」は、前バージョンに「150以上の新機能を追加した」(アップルコンピュータ プロダクトマーケティング課長
鷲滝薫氏)4度目のメジャーバージョンアップ製品である。エンタープライズ・システムの基幹OSとして耐えられる性能を獲得するために、特に管理機能の大幅なチューン・アップを施した。
現在、マイクロソフトが自社のサーバOS「Windows Server 2003」の、NTからの置き換えを急ピッチで行っているが、その際、同社が顧客にアピールするポイントは、Active
Directoryの活用によるシステム全体(当然ユーザーも含む)の強力な管理機能である。マーケティングの観点からみるとアップルが狙い目にするのも、「NTからの置き換え」(鷲滝氏)であることに変わりはなく、アピール・ポイントも強力なディレクトリ機能をいかに潜在顧客に提示できるかにかかっている。とはいえ、「(アップルにおけるマーケティングの歴史的な経緯を考えると)いきなり基幹システムにまで食い込むのは現実的ではない」(鷲滝氏)。ファイル・サーバ用途あるいはWebサーバ用途として、NTをメインターゲットとし、あるいはLinuxを横目にみつつ、着々と市場を広げつつあるのが現状というところだろう。なお、アップルのLDAPディレクトリサービス「Open
Directory 2」は、OpenLDAP、Berkeley DB、Kerberos KDCといったオープン技術で構成される。
複数のOSが共存する最近のITシステムにおいて、WindowsとMacの共存という環境も必ずしも珍しいものではない。特に、デザイン部門、DTP部門、コンテンツ制作部門といったワークグループへの導入で強みを発揮するアップルにとって、おそらくすでに導入されているであろうWindowsとの共存は大きな課題である。v10.3では、Open Directoryと統合した「Samba 3」を搭載、Windowsクライアントにネイティブ対応したサービスが実現可能となった。例えば、WindowsユーザーがPCのログインウィンドウから直接、Mac OS X Serverへの認証作業が行えるようになる。
WebサイトのホスティングOSとしての側面も持つ。J2EEアプリケーションの実行を支援するコンポーネント(Apache、QuickTime Streaming Server、JBossアプリケーションサーバ、Tomcat、Apache Axis、MySQL 4)が組み込まれている。特に、v10.3からはEJBを想定したJBossの組み込みが目新しい。もちろん、WebObjects、Tomcat、いずれかを選択することも可能である。
(編集局 谷古宇浩司)
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