金融面も支援、MSの中小企業戦略が第2段階に

2003/11/20

 マイクロソフトは同社の中堅・中小企業向けの事業戦略「全国IT推進計画」の第2段階の施策を11月下旬に始めると発表した。米マイクロソフトのCEO スティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏は、全国IT推進計画の2年間の活動を「日本市場で大きな前進があった」と評価。ITを浸透させる可能性があるとして「今後10年間、ITの見通しは明るい」と述べた。

左からマイクロソフトの常務執行役 ゼネラルビジネス統括本部 東日本・西日本営業本部担当 眞柄泰利氏、米MSのCEO スティーブ・バルマー氏、MS 代表取締役社長 マイケル・ローディング氏

 第2段階では、中堅・中小企業の新規開拓のため、3つの新しい施策を行う。1つ目は、アプローチが難しい中堅・中小企業向けに新たにコンサルタントの認定資格制度を立ち上げること。ITコーディネータ、オープンコンサルティングプロジェクトの有資格者を対象とした認定資格で、「経営改革の観点からIT導入を中堅・中小企業に提案できる」ことを目指す。認定資格の名称は「マイクロソフト認定システムコーディネータ」(MCSC)。2004年6月までに200人の資格者育成を目標とする。マイクロソフトの常務執行役 ゼネラルビジネス統括本部 東日本・西日本営業本部担当 眞柄泰利氏は、「ITコーディネータの資格者にITありきでなく、実ビジネスと接点を持ってもらう」と新認定資格の狙いを説明した。

 2つ目は、中堅・中小企業向けにマイクロソフトが、ITを導入する際の金融面の支援を行うこと。顧客企業からIT導入にかかる資金の相談があった際に、マイクロソフトが認定パートナーを通じて、提携するオリックスやダイヤモンドリースなど金融機関に連絡。与信審査でMCSC資格者の推薦を活用するという。2004年1月に開始予定。「マイクロソフトがリストを取る」(眞柄氏)ことでIT導入の最終段階で問題になることが多かった、金融面の障害を取り除く。

 3つ目は、マイクロソフトの中堅・中小企業向けWebサイト「経革広場」やMSN Japanを通じて、中堅・中小企業のIT導入事例を映像で配信する計画。経営課題の発見や経営戦略の策定から導入までの各プロセスを映像で紹介する内容で、11月下旬から3年間で500本を公開する。

 マイクロソフトは2001年10月に全国IT推進計画を開始。今年10月までの2年間に、中堅・中小企業の経営者に対してIT活用のメリットを紹介する「IT実践塾」を500回開催し、1万5000人が参加したという。ITスキルの研修を行う「IT体験キャラバン」も44都道府県171市町村で206回開催し、1万8000人が参加した。米マイクロソフトも全国IT推進計画の活動を評価しているようで、バルマー氏は「第1段階で日本のマイクロソフトが経験したことをベスト・プラクティスとして世界各地で共有している」と説明。「日本のチームにはビル・ゲイツ会長賞が贈られた」という。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
マイクロソフトの発表資料

[関連記事]
「ちょうどいい機能をちょうどいい価格で」、日本IBM (@ITNews)
価格は現行の2割引、SAPが見せた中堅市場への本気度 (@ITNews)
価格、導入期間をガラス張り、オラクルの考えるERPビジネス (@ITNews)
中小企業のパラダイムシフトを実現させる新資格 (@ITNews)
全国をITトレーラーで、MSの中小企業向けソリューションの本気度 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)