EMCがチャネル販売拡充、「情報ライフサイクル管理」実現へ

2003/11/26

 EMCジャパン 代表取締役社長 中山隆志氏は、同社が掲げるストレージの新コンセプト「情報ライフサイクル管理」を実現するため、2〜3社の販社系チャネルパートナーを新たに開拓する考えを示した。EMCはこれまで直接販売が主だったが、情報ライフサイクル管理を顧客企業に提案するにはコンサルティング力や全国規模のサポートが重要になると判断。大手システム・インテグレータなどと新たに手を組むことを決断した。

EMCジャパン 代表取締役社長 中山隆志氏。日本IBMやサン・マイクロシステムズ、伊藤忠テクノサイエンス(CTC)を経て今年10月に社長に就任

 EMCは来年3月末までに2〜3社のチャネルパートナーと契約する予定。これまでのダイレクト販売に加えて、チャネル販売を強化する。2004年度上期に販売体制を整えて、下期にチャネル販売を積極化させる考え。中山氏によると、従来ダイレクト販売が多かった米EMCでもパートナー販売の比重が高まっているという。

 EMCジャパンはこれまでハイエンド中心のストレージのラインアップで、ターゲットとなる企業は製造業大手などが多かった。製造業大手は情報システム部が高いスキルを持つことが多く、ストレージベンダやSIerがソリューションを積極的に提案する必要はなかった。しかし、EMCが扱うストレージのラインアップがハイエンドからエントリモデルまで拡大。また、ストレージの用途もデータの単純なアーカイブから、再利用を前提とした保存や法規制をクリアするためのデータ保存、ディザスタリカバリへの対応、経営への保存データの積極利用などへと多様化しつつある。そのため直接販売だけでは顧客企業の多様なニーズにこたえられなくなるケースが増えた。

 EMCが今年8月に発表した情報ライフサイクル管理というコンセプトも、チャネル販売拡大を後押しする。EMCの情報ライフサイクル管理とは、企業情報システムが扱うデータの創造、保護、活用、移行、アーカイブ、破棄まで、すべての局面で低コストを追求する考え。ミッションクリティカルで貴重なデータは、信頼性とパフォーマンスが高いハイエンドのストレージで管理し、企業内で日常的に更新するデータはミッドレンジストレージを使用、一度保存すれば更新せず、内容を確認することも少ないデータは、低コストのストレージで管理する。

 中山氏は、EMCのストレージや管理ソフトの充実、加えて米レガートシステムズと米ドキュメンタムの買収によって、「情報ライフサイクル管理を行う一応のラインアップはそろった」という。しかし、顧客企業に情報ライフサイクル管理のサービスを提案するには、企業個別の問題を考える必要がある。その解決策は千差万別で、「ダイレクトだけのビジネスではカバーするお客さまが少なくなる」(中山氏)との認識。新規のチャネルパートナーを増やすことで顧客企業への提案力を向上させ、「トータルソリューションの一部として、エンドユーザーのデータに関する悩みを解決する」というのが中山氏の狙いだ。

(編集局 垣内郁栄)

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