「2004年はBPM市場がブレイク」、米サヴィオン・テクノロジー

2003/12/26

米サヴィオン・テクノロジーの創立者兼チェアマンであり、技術統括責任者であるケタブチ博士

 BPM(Business Process Management)製品を提供している米サヴィオン・テクノロジーの創立者兼チェアマンであり、技術統括責任者であるケタブチ博士(Dr. M.A.Ketabchi)が来日した。目的は、2004年の日本市場戦略立案のため。「米国ではITベンダもユーザー企業も“BPM”に大きな関心を寄せている。来年は日本においても最も熱い市場になるだろう」というケタブチ氏が、BPMの動向と日本市場での戦略について語った。

 米IT業界の動向からいえば、BPM市場にさまざまなベンダが“乱入”している状態だという。というのも、ユーザー企業から『ビジネスプロセス改善』に対する要望は依然として強いためだ。業務アプリケーション、EAIなどいろいろなITトレンドが去来する中で、ユーザーが実現したいこと「経済環境に合わせた最適なビジネスプロセスを柔軟に構築したい」ということだ。そのプロセス構築の支援ソリューションとして出てきたのがBPMだという。

 ケタブチ氏によると、「現在のIT市場は大きく5つの層に分けられる」という。まず、ERPなどのパッケージ・アプリケーション層。次にアプリケーション同士を接続させるEAI層。EAIは大きく、インテグレーション・ブローカーとしての役割と、アダプタとしての役割があるが、現在インテグレーション・ブローカーの機能はWebLogicやWebSphereなどのアプリケーション・サーバに包含されつつある。現在のEAIツールは、ほとんどがアダプタとしての役割しかないというわけだ。次に、インテグレーション・ブローカーとしてアプリケーション・サーバ層。ここまでがいわゆるITインフラの部分で、その上にエンドユーザーがかかわる業務部分が存在する。具体的な支援ツールとしては、まずBPM層。BPMは社内の全ビジネスプロセス/ロジックを統合し、ライフサイクルを管理するもの。そして統合したビジネスプロセスにアクセスするためのツールとしてポータル層があり、エンドユーザーはポータルのWebブラウザを通して統合されたビジネスプロセスにアクセスするというわけだ。サヴィオンでは、「企業の業務プロセスを『ITインフラ』と『業務』というレイヤで分けたとき、その間をつなぐものがBPMであると考えている。具体的には、人・業務のビジネスプロセスを管理し、改善につなげていくための支援ソリューションだ」(ケタブチ氏)と語る。

 「5つの層のベンダがこぞってBPMというキーワードで製品を提供している。特にEAIベンダが積極的に“BPM”と名乗っているが、それはいまいったとおり、アプリケーション・サーバの機能が巨大になったため、EAIツールの活躍分野が狭くなったから。しかし、企業のIT担当者やソリューションベンダからすると、EAIのようなデータ連携の方が理解しやすい。実際に業務を改革したい経営層やエンドユーザーは、『ITだけではビジネスプロセスを改善できない』と思い込む。だからいつまでたってもBPM=ビジネスプロセス改善につながらない」(ケタブチ氏)。

 そこでサヴィオンでは次バージョン「Savvion BusinessManager(SBM)5.0」で、「プロセス・ライフサイクル・マネジメント」という概念を強化し、BPM市場のブレイクを狙う構えだ。

 プロセス・ライフサイクル・マネジメントとは、ITを使ってビジネスプロセスの定義、シミュレーション、管理を通じ、企業内にプロセス改善のサイクルを作り上げること。そのためSBM5.0では、業務モデリング機能やシミュレーション機能、プロセス分析機能を強化し、エンドユーザーや経営者、コンサルタントなどIT担当者でなくても簡単にプロセスを可視化・モニタリングする仕組みを整えた。さらに、データベースにアクセスする「Data Adapter」、業務プロセスをEJBで実装し、プロセス連携をを実現する「EJB Adapter」や「Web Service Adapter」などを提供し、「業務層」と「ITインフラ層」両方をカバーする方針だ。これにより、一般企業のIT担当者のほか、経営層やエンドユーザーにもアプローチしていく。

 ケタブチ氏は最後に「これまでBPMはITインフラ側からのアプローチが強すぎて、経営層やエンドユーザーへ浸透していませんでした。一般のビジネスマンにも使いやすく、分析しやすい機能を提供することで、BPMソリューションが身近になるでしょう」と述べた。

[関連リンク]
サヴィオン・テクノロジー

[関連記事]
新ASTERIAは「1000万円のEAI案件もカバー」 (@ITNews)
EAI市場は飽和、ビトリアが新ビジネスモデルを提示? (@ITNews)
ビジネス・プロセスの管理・制御もOpenViewで、HP (@ITNews)
[Interview] 次期製品は「人」をつなぐポータル、ブロードビジョン (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)