「BINDでのDNS管理には限界がある」、DNS考案者の新サービス
2004/1/22
米ノミナム会長のポール・モッカペトリス氏 |
「オープンソースのプログラムで企業のDNSを管理するには無理がある」。こう語るのは、米ノミナム(Nominum)会長のポール・モッカペトリス(Paul Mockapetris)氏。モッカペトリス氏は1983年に現在のDNSシステムを考案し、RFCを記した当人。モッカペトリス氏が率いる米ノミナムは、1999年に創立され、DNS、DHCP、IPアドレス管理を必要とする企業のためのIPアドレス・インフラストラクチャ・ソフトウェアを開発する企業である。
冒頭の発言にあるオープンソースプログラムとは、現在大半のDNSサーバを構築しているBINDを指す。モッカペトリス氏が「われわれはBINDの優れた点もそうでない点も知り尽くす、IPアドレス管理ソリューションのプロフェッショナル集団である」と語るように、ノミナムは、モッカペトリス氏以外にも多くのDNSやDHCPのエキスパートが在籍し、BIND 9をメンテナンスするISC(Internet Software Consortium)の元でその開発に貢献した実績を持つ。
モッカペトリス氏は、「実際、オープンソースのDNSサーバのアプリケーションとしては、現行のBIND 9.2.3は一番賢い選択だろう。しかし、アプリケーションのバージョンアップには、DNSシステムの停止が必要となる。これは、ミッションクリティカルな大企業のシステムには致命的である」とBINDに限らず、現在、DNSサーバに使われているアプリケーションの欠点を指摘する。このような(BINDが中心の)DNSシステムの運用の問題に対し、ノミナムは「ノミナム・ファウンデーション」というIPアドレス管理ソリューションのためのアプリケーションを開発することで、解決策を提示しようとしている。
ノミナムの実験では、ノミナム・ファウンデーションはBIND(実験時は9)に比べ、名前解決の問い合わせやキャッシュサーバのパフォーマンスにおいて、2倍以上の速度で処理できるという結果が出たという。さらに、問い合わせ処理にかかる時間におけるキャッシュサーバの遅延という点でも、BINDの半分以下に抑えられる結果が出たと語った。
同製品は日本市場では、住商エレクトロニクスがサービスプロバイダや法人向けに販売する。導入企業は、DNS、DHCPサーバの運用・管理に加え、ネットワーク機器を停止することなくIPアドレスの変更/運用・管理ができるようになるという。
(編集局 富嶋典子)
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