メールをのぞけば社内の人間関係が分かる?

2004/1/29

 過去5年分の社内の電子メールをすべて保存しておけば強力な経営資源となる……そう提案するデジタルフォレストは1月28日、新製品「Visionalistメール解析」を発表した。従来でも電子メールサーバのログを取り、トラブル発生時に活用するといった運用管理は行われていたが、「Visionalistメール解析」はヘッダ情報から電子メール本文、添付ファイルまで、社内の電子メールをすべて完全な形で保存するというコンセプトだ。

デジタルフォレスト 代表取締役社長 猪塚武氏

 電子メールは日常業務に不可欠な存在になったが、私用メールの氾濫や情報漏えい、社員間コミュニケーションが見えにくくなるといった弊害を感じている管理職も多いだろう。電子メールをすべて保存することの意義について、同社 代表取締役社長 猪塚武氏は「訴訟社会の米国では、証拠保全のため企業が過去5年間の電子メールを保存するのがトレンドで、日本も追随するだろう。さらに、電子メールをさまざまに分析することで(管理業務に関して)多くのビジネスメリットを享受できる」と語った。日本では管理業務支援ツールとしての利用が先行するだろう。

 Webブラウザから「Visionalistメール解析」の管理画面を開くと、社員が送受信した全電子メールを分析するメニューが表示される。特定の社員の電子メール履歴を追跡したり、流通する電子メールの量とあて先から社員間の人間関係まで推測することが可能だ。私用メールの洗い出しや、個人メールアドレスの使用など、勤務実態の把握といった使い方も想定できる。

 猪塚氏によれば、電子メールの多角的な分析によって社員間、部門間、対顧客の3方向で業務の流れを把握できるが、「電子メールに限定された情報分析なので、あくまでも参考データになる、と顧客には説明している」とした。同社のVisionalistシリーズは今回発表の「メール解析」のほかに、Webサイトのログ解析や検索エンジンマーケティング解析などの製品群を含み、「ログ解析によるマーケティング/ビジネスプロセスを支援するアプリケーションスイートを目指す」という。「Visionalistメール解析」はビジネスプロセス解析を担うモジュールの1つという位置付けだ。

 同社の対象顧客は当面、従業員数50〜2500人規模の企業とする。想定される電子メール流通量は、従業員数1000人で年間4000万通、5年間に蓄積されるデータ量は8テラバイトに上る。SMTPメールパケットをスイッチングハブのミラーリングポートから取得してデータベースに格納し、IBM RedBrick Warehouse(別途購入)を使いデータウエアハウスとして分析を行うことで、高速検索を実現している。

 製品価格は2系統あり、社員数300人程度を想定した1サーバ対応版が290万円、これに外付けストレージ機器を付けた上位タイプが590万円。ハードウエア、データベースエンジン(RedBrickなど)が別に必要となる。発売開始は2月から。

(編集局 上島康夫)

[関連リンク]
デジタルフォレストの発表資料

[関連記事]
スパム撲滅のため、世界の通信会社が立ち上がる (@ITNews)
掲示板が新たな脅威、トレンドがWebアクセス管理の新製品 (@ITNews)
エンジニアの仕事の大半はコミュニケーション活動である (@ITNews)
電子メール暗号化が巨額の損害賠償を防ぐ (@ITNews)
もう仕事中にゲームはできません、ウェブセンス (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)