IDCが語る「ストレージ市場を変える2つのテクノロジ」
2004/1/31
「ストレージ市場では、これまでもユーザーがよりコストパフォーマンスに優れたストレージ管理のソリューションを求め続け、テクノロジ提供側はそれにこたえてきた。今後もその流れは続く」。米IDC ワールドワイドストレージリサーチ グループ バイスプレジデントのジョン・マッカーサー(John McArthur)氏は、サーバ直結型ストレージ(DAS)からネットワークストレージへと移行しつつあるストレージ市場をこう要約し、今後のストレージ市場では2つのテクノロジが注目されると指摘した。
米IDC ワールドワイドストレージリサーチ グループ バイスプレジデントのジョン・マッカーサー氏 |
マッカーサー氏が挙げた2つのテクノロジのうち、1つ目はFiber Channel-SANとiSCSI-SANの使い分け。iSCSIは低価格で大容量だが、基幹システムのトランザクション処理には向かず、ファイルサーバやメールサーバ、プリントサーバの用途に対して、ほどよいパフォーマンスであるとマッカーサー氏は指摘。一方で、Fiber Channelは「コストはかかるが、信頼性が高くビジネスプロセッシングなどのハイエンド用途に使われ、iSCSIの台頭後も使われ続けるだろう」と語った。Fiber ChannelとiSCSIについては競合関係にあることが指摘されることが多かった。だが、マッカーサー氏の考えでは、この2つのテクノロジは住み分けが可能。「Fiber Channel-SANはハイエンド市場で、iSCSI-SANは中小市場でそれぞれのニーズを満たしていく」と述べた。
2つ目のテクノロジは、より安価なストレージを可能にする外付けディスクドライブの出現。マッカーサー氏は、「現在の企業向けストレージの比率は、90%以上がFiber ChannelやSCSIに対応したドライブ。だが、今後2007年ごろまでにハードディスクドライブ(HDD)やCD-Rドライブなど外付けドライブが全体の30%以上を占めるまで成長するだろう」と予測した。
外付けドライブの躍進を後押しするのはシリアルATAインターフェイスの出現だ。PCや小規模サーバで使われているHDDや外付けドライブは、Fibre Channelのドライブに比べてメガバイト当たりのストレージコストは相当低く抑えられているものの、転送速度が遅く企業での利用は少なかった。だが、製品出荷が始まったシリアルATAインターフェイスに対応したハードディスクドライブは、従来のパラレルATAインターフェイスのドライブに比べて最大で5倍前後の転送速度があり、企業データのバックアップにも実用的に使える。マッカーサー氏は、企業がシステム全体のコストを下げるためにコストがかかる既存ストレージから、シリアルATAインターフェイスのドライブに切り替えるケースが増えると予測した。
(編集局 富嶋典子)
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