「カットオーバー後のゴタゴタを減らす」、SAPが新サポート

2004/2/5

 SAPジャパンは、SAPユーザー向けサポートサービスを展開しているRWDテクノロジーズジャパンとの協業を強化し、SAP導入企業のエンドユーザー向けサポートサービスを本格展開すると発表した。SAPジャパン 副社長 細谷哲史氏によると導入企業のプロジェクトメンバーなどに対するトレーニングやサポートは従来から行われてきたが、実際に業務でSAP製品を使う経理担当者などエンドユーザーに対するトレーニング、サポートは手薄で、導入パートナーが個別に対応してきた。SAPジャパンがエンドユーザー向けのトレーニング、サポートを本格展開することでサービスが標準化され、「カットオーバー後のゴタゴタを減らす」(細谷氏)ことにつながるという。

SAPジャパン 副社長 細谷哲史氏

 RWDテクノロジーズジャパンは2002年にSAP本社と米RWD Technologiesが「SAPラーニングソリューションズジャパン」の名称で設立。2003年12月に米RWDの100%子会社になった。設立当初からSAP導入企業のエンドユーザーに対してサポートサービスを行ってきた。今回、SAPジャパンから「エデュケーション・パートナー」の認定を受け、協業を強化。SAP導入プロジェクトの初期段階からSAPジャパンと協力し、顧客にアプローチできるようになる。

 細谷氏はSAP製品の導入が終了し、サービスインした後のトラブルとして、業務データの移行に関するトラブルと、実際にSAP製品を使うエンドユーザーが操作法を分からずに業務が停滞するトラブルを挙げた。SAP製品は導入する個別企業ごとにカスタマイズする部分が多く、画一的なトレーニングではエンドユーザーが実際の業務を習得できないという問題があった。「サービスイン後の1カ月くらい、ヘルプデスクの電話が鳴り続けることもある」(細谷氏)という。

RWDテクノロジーズジャパン 代表取締役社長 吹田順一郎氏

 SAPジャパン、RWDによるエンドユーザー向けサポートサービスの中心は、導入したシステムのマニュアル作成と提供。RWDが開発したSAPマニュアル自動作成ツール「RWD Info Pak for Asia」を活用する。RWD Info Pak for AsiaはSAP製品を操作するだけで、製品の画面をキャプチャし、Microsoft Wordに送り込み、マニュアルを自動作成する。「〜をダブルクリックする」などの定型文やSAP製品の主なアイコンを用意していて、手作業でマニュアルを作成することと比較して作業時間は最大5分の1になるという。作成したマニュアルはHTMLに変換し、社内のイントラネットに掲載可能。SAP製品の操作中にいつでも参照できるようになっている。SAPジャパン、RWDは加えてエンドユーザー向けヘルプデスクの設置などでも協力する。

 両社が提供するエンドユーザー向けサポートサービスは、SAP導入プロジェクトとは別立ての料金になる。料金は利用顧客別だが、RWDテクノロジーズジャパン 代表取締役社長 吹田順一郎氏によると、「1000人規模の企業でユーザーが300人の場合、RWD Info Pak for Asiaの利用料は500万円」というのが目安。別にサービス料金はかかるが、マニュアル作成はビギナーレベルのコンサルタントでも可能で、単価を抑えることができる。細谷氏は「開発期間、コストの横軸、縦軸を圧縮できるサービスで、導入企業の顧客満足度を向上させる」と両社の取り組みを説明した。

 両社の目標はサービス開始初年度に3億円の売り上げを挙げること。3年以内に10億円以上のビジネスに育て、5年後にはSAP教育ビジネスの30%を占める事業に育てる計画。

(編集局 垣内郁栄)

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