MS、Linuxとの比較広告キャンペーンで“事実を知ってほしい”

2004/2/10

マイクロソフト 市場戦略グループ グループシニアマネージャ 北川裕康氏

 マイクロソフトがLinuxに狙いを定めた広告キャンペーンを国内で開始した。主要なIT関連の雑誌、新聞、オンライン媒体で6月まで展開され、非常に大規模なものになる見通し。このキャンペーンを指揮する同社の市場戦略グループ グループシニアマネージャ 北川裕康氏は、「WindowsプラットフォームとLinuxを事実に基づいて評価してほしい」とその目的を語った。

 “Get the Facts”と呼ばれるこのキャンペーンは、WindowsとLinuxのTCO(総所有コスト)や導入コスト、ビジネス価値などを比較する広告などを中心に展開される。雑誌広告は18日発売号から、オンライン媒体は本日からバナー広告の掲載が開始される(@ITも掲載媒体に含まれる)。比較データは調査会社のIDCから提供されるが、調査のための費用はマイクロソフトがスポンサーとして負担し、内容については干渉していないという。

 広告の内容は、Windows 2000 ServerとLinuxの5年間のTCOを比較をグラフなどで示したもの。これによると、ネットワーキング、ファイル共有、プリンタ共有、セキュリティの分野でWindowsの方が低コストで、Webサーバの分野のみLinuxの方が低コストだとされる。このほかにも、Windowsユーザーの実際の声や、セキュリティについての啓蒙などが行われる予定。また、マイクロソフトのWebサイト内にも特設コーナーが用意されている。

 こうしたキャンペーンは、同社に対する強い反発をLinux陣営などから引き起こすことも予想される。北川氏は「オープンソースだから安い、商用ソフトだから高い、ということがイメージで議論されている。これが事実や調査に基づいた双方の議論のきっかけになればと期待している」とした。

 このキャンペーンは同社がLinuxをけん制しているように見えるが、それよりもWindowsパートナーを助けるのが大きな目的だと、同社の広報部マネージャ 新保将氏はいう。「理解のない上司や客先に、Windowsをベースにしたシステム提案を出すと『無料のソフトウェアを使えばいいじゃないか』といわれてしまう恐れがある。そんなときでも、Windowsを提案してくれるパートナーを後押しできるような情報を提供したい」(新保氏)

 マイクロソフトはオープンソースとの競合に備えた専門の組織をワールドワイドで展開していることを明らかにした。この組織は、Windowsとオープンソースが競合する商談に対して、Windowsの優位点についての情報提供などを行うことで、Windowsの商談を後押しするといったことも行う。今回のキャンペーンも、そうした同社の対オープンソース戦略の一環として行われるものだという。

(編集局 新野淳一)

[関連リンク]
マイクロソフトの「WindowsとLinuxについての事実検証」のWebページ

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