EMCジャパンが製品ラインアップを一新、ILM実現目指す

2004/2/11

EMCジャパン 代表取締役社長 中山隆志氏

 EMCジャパンは同社が提唱する企業情報データ管理のコンセプト「情報ライフサイクル管理」(Information Lifecycle Management:ILM)に基づき、主要製品のラインアップを一新したと発表した。製品の個別販売、直接販売というこれまでのビジネスモデルを見直し、ソリューションに基づいたパートナー販売を強化する。EMCジャパンの代表取締役社長 中山隆志氏は「ILMを実現できる製品、サービスを提供し、顧客のニーズにこたえたい」と述べた。

 ILMとは「情報の生成から廃棄までのサイクルで、その情報のデータの価値に応じてサービスレベルを設定し活用する」というコンセプト。「情報価値の最大化とTCOの削減を実現する」というのが顧客のメリットだ。具体的には重要度が高く、頻繁にアクセスするデータは信頼性が高いハイエンドストレージに保存。重要度は高いがそれほどアクセスしないデータは、アクセス速度が低速でコストパフォーマンスがよいストレージで保存。重要度が低く、数カ月後に廃棄するデータは低コストのストレージで保存するという考え。

 中山氏はこのILMを実現するEMCジャパンの施策としてストレージラインアップの拡充と、ストレージ管理の自動化、統合化の推進などを挙げた。さらにILMの実現では製品の個別販売から、顧客にソリューションを提案し、製品、サービスを販売するビジネスモデルに転換する必要性があると説明。中山氏は「自己完結型のビジネスではILMは実現できない。パートナーとの協業が必要」として、パートナーによる間接販売を強化する方針を述べた。直販部隊が販売した製品のメンテナンスをパートナーが担当するなど、関係も強める。EMCジャパンの社員も現状の560人から年内中に600人まで増員する。

 EMCジャパンは製品ラインアップを大幅に拡充した。ハイエンドストレージでは、「Symmetrix DMX-2」を新たに投入する。従来のDMXシリーズと互換性を保ちながらプロセッサ速度を2倍、キャッシュメモリを2倍にするなど、全体のパフォーマンスを2倍に引き上げた。ミッドレンジストレージでは新製品として「CLARiX CX300」「CX500」「CX700」を投入。従来のCX200、CX400、CX600とそれぞれ同じ価格ながら、パフォーマンスを最大2倍にした。また、EMCジャパンはCLARiX向けソフトとして、Volume Shadow Copy Servicesと連携しMicrosoft Exchange Server、Microsoft SQL Serverの無停止バックアップを可能にする「SnapView Integration Module for Exchange」「SnapView Integration Module for SQL Server」を発表した。

 「CLARiX CX300」「CX500」「CX700」はデルが「Dell|EMC」のブランドでも販売する。デルのエンタープライズ システムズ マーケティング本部 エンタープライズ ソリューション本部長 多田和之氏は、CX300を189万円からの価格で販売することを明らかにした。デルはDell|EMC製品の販売について、オンラインでの見積もりやROI測定、技術コンサルティングのサービスも強化する方針で、多田氏は「デルはNAS市場で国内2位となった。CXの新シリーズ投入でSANでも国内のリーダーとなっていきたい」と述べた。

(編集局 垣内郁栄)

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